この世の果ての中学校最終章“お腹が減ったママとパパと先生たち!”
ペトロは短く厳しい修行を終え、人間の守り神として天上の神殿に佇む。 神殿の庭園から薄い帳を通して、パノラマのように広がる宇宙のすべてが見...
地球は大丈夫? 宇宙 ライフ オリンピックエピソード あの世のこと・この世のことのSF小説
ペトロは短く厳しい修行を終え、人間の守り神として天上の神殿に佇む。 神殿の庭園から薄い帳を通して、パノラマのように広がる宇宙のすべてが見...
次の日の朝早く、裕大はドームに据え付けられた大気環流装置をいつものように静かに稼働させた。天蓋によって守られた穏やかな空を眺め、大気...
「ギリ、ガリ!」 朝早く、磨き砂でガラスをこするような嫌な音が聞こえて来て、マリエは目が覚めた。サイド・テーブルに手を伸ばしてス...
マリエは夢を見た。ペトロのマイワールド、森の中の森でペトロと戯れている夢だ。真っ赤な顔の長老が森の奥から二人をじっと睨んでいた。長老の真っ赤に焼けた手が伸びてきてペトロの胸にぐさりと突き刺さった。“ぶんぶん”と森の虫たちが集まってきて、ペトロの身体を担ぎ上げて森の奥に運んでいった。
ペトロの神殿に閉じこもったペトロは丸一日かけて小さな祭壇を作りあげた。「天上の神様どうか人間への怒りを解いてお力を貸して下さい。奇跡を起こす力をペトロに与えて下さい。必要とあれば代わりにどうぞ僕の命を取り上げて下さい」ペトロは祭壇の前で跪き、祈りを捧げた。一滴の水も飲まず、一切れのパンも食べずに頑張った。3日が経つても神様から返事は無かった。
“バタン!” 生徒たちはカレル先生が閉めた大きなドアの音とともに、教室に残された。 「やり直しましょ!」年長の咲良が立ち上がった。...
いつもの教室、いつもの金曜日の朝のことだ。担任のハル先生を囲んでお喋りをしていたら、黒い仮面をかぶった背の高い男が無言で教室に入ってきた。男は生徒をじろりと一睨みしてからハル先生に近づき、「ハーイ!」と一言。教壇に登ってデスクの上にでっかいタイム・トラベル時計をどんと置いた。「ワオ!ご紹介しよう、時空を彷徨う僕らのレジェンド!“虚構の手品師”のご帰還だ!」ペトロがはやしたてた。
宇宙の果てから帰還した翌朝、元気を取り戻した匠は仲間を集めて報告会を計画。廊下をバタバタと走る音が聞こえて、ハル先生が愛用のナノコンを抱えて教室に駆け込んできた。「完成したわよ!」ハル先生が息を切らせて言った。「宇宙の方程式ですか?」生徒全員が口を揃える。「違うわ!惑星間電子会議システム、宇宙のお喋りチャットよ! 緑の惑星のボブたちと繋がッてるわよ。星間会議スタート!」
匠は「アスリートの守り神、地球より来たる」と大嘘を名乗って天上の会議場に潜り込んだ。そこでは宇宙に生きるあらゆる種の「守り神」が集まって緊急会議を催していた。討議は終わり長老会の結論を待つ間、場内の方々で匠に理解できない守り神の言葉が飛び交った。
匠は、地球から遠く離れた宇宙の片隅にスペースハンモックを浮かべて、孤独なときを過ごしながら、第三惑星に住む小さなエドの家族から返信が届くのを待っていた。 三日目の朝スペース・フォンにボブとクレアからメールが届いた。“二人は森の中で緑の怪物に出会った。 怪物の正体はやさしい緑の風のおじ様で、“惑星テラは地球から逃げ出した緑の植物と土の塊からできあがったこと” “地球の自然を壊した人類には、種の命を守ってくれる守り神がいなくなったこと” “話を怪物から聞いて驚いたボブとクレアは岩から落ちて気を失ったこと”がメールに書かれていた。