人類の皆様!地球史上例を見ない灼熱の夏をいかがお過ごしでしたか?
2024年、日本の暑さは私など高齢の生命体には限界に近い体験でした。このような試練が来年もつづくのでしょうか?
いつになれば地球温暖化は止まるのでしょう?
1世紀近くを生きてきたおじいちゃんの記憶によれば、地球は年々暑くなるばかり。人知を尽くしても地球温暖化はもう止まらないのではないかと心配です。
私たちの子供や孫たちの世界はいったいどうなっていくのでしょうか?
ここでは、地球温暖化が止まりそうにないと懸念する主な理由と、灼熱の気温上昇にいまから備えるべきことについて考えをまとめてみました。
まずはじめに、「なぜ、人知を尽くしても地球温暖化が止まりそうにないのか?」についての根拠をご説明します。
地球温暖化が止まりそうにない5つの理由
地球温暖化が止まりそうにないと思う主な理由は次の5つです。
理由1 地球の人口が減らない限り温暖化は止まらない?
2024年に地球の総人口は81億人に達しました。良くも悪くも人類が主役の世紀なので地質学的には今の時代区分を「人新世」というそうです。
ここでは、地球の人口の増加と地球の温度上昇との関連性を確認するために、以下の3つのグラフを縦に並べて調べてみました。
①世界の人口の推移
引用:グラフストック/国連「World Population Prospects 2019」より
人口の減少が先進国で問題となっていますが、地球全体の人口は1960年に30億人強であったのが、2020年には80億人近くまで増加。2024年には81億を突破したとみられています。増加率が減少しつつあるとはいえ、わずか60年の間に2.6倍の爆発的増加です。
人口の着実な増加と、活発化する経済活動により地球資源への影響はどのように変化してきたのでしょうか?
次に、人類の経済活動の原点となるエネルギー消費量の推移を調べてみました。
⓶世界のエネルギー消費量の推移
出典:経済産業省 資源エネルギー庁
この図表は、世界の一次エネルギー消費量の推移をエネルギー源別に示したグラフです。地球温暖化の原因となるCO2やメタンを発生する化石燃料である石炭、石油、ガスの消費量は1965年から2019年までの54年間で3倍近くに増えています。増加の時期と増加率が、前掲の人口の傾向と重なっています。
人口の増加と活発な経済活動が化石燃料の消費量を比例的に増やし、CO2やメタンなどの温室効果ガスを大量に放出したことが読み取れます。
③ 世界の年平均気温の推移
この図表は世界の年平均気温の推移を、1991年から2020年の平均温度からの差で示したグラフです。1975年を過ぎたころから2020年までの45年間に急角度で気温上昇が続いています。①の人口増のグラフ、⓶のエネルギー消費量の増加を示すグラフとの明らかな相関性が見られます。
3つのグラフから、地球の温暖化の現象は人類発のものであり、地球人口の増加が地球温暖化の基本的な要因であると断言しても間違いないでしょう。
このことから、地球の人口増が止まらない限りは、さらに言えば減らない限りは温室効果ガスの削減は実現できないだろうと思われるのです。
とはいえ、地球の人口を地球規模で計画的に減らすなどという政策は、現実的には実行が大変困難な道筋だと推測されます。
人類の普遍的な繁栄と平和を目指す国連の場では、温暖化対策として人口を減らすという提言には、倫理的な理由や、宗教的伝統、国内情勢の違いなどで、反対意見が多すぎて、総意は期待できないでしょうね。
理由2 COP29の2030年度CO2削減目標「42%」は実現困難?
国連は2024年11月に予定されるCOP29を目前にして、23年度の世界の温室効果ガスの排出量が前年度に比べて1.3%増加して、571億トンと過去最高値を記録したと報じています。
一方、産業革命前からの気温上昇を、目標の1.5度以内に抑えるためには、2030年までに温室効果ガスの排出量を2019年と比べて42%削減する必要があるとしています。42%といえば総排出量の半分に近い数値です。
これを実現するために、2030年までに再生可能エネルギーの量を世界全体で3倍以上にして、同時に世界のエネルギー効率を2倍以上にするといった思い切った措置が必要となるといっています。
各国がCOPの提言に応じて、様々なレベルの対策をスタートしても排出量が増え続ける現状のなかで、2030年までのわずか6年間でエネルギーの生産方法と、消費の効率を大胆にシフトして、 排出量を半分近くにしようとは、2050年にカーボンニュートラルを実現するために必須とはいえ、まさに実現不可能な提言としか思えないのです。
理由3 後戻りができない「ティッピングポイント」を超えている可能性がある?
すでに突破したと推定される後戻りできない気象現象のことを「ティッピングポイント」と呼んでいます。
温室効果ガスの排出を止めても気温の上昇が継続する現象のことです。一度突破すると元に戻ることが非常に難しいとされています。
以下は、ティッピングポイントとみられるいくつかの気象現象の例です。
①北極海の氷塊の消失→太陽光の反射が減少し海水の温度が上昇。氷の溶解がさらに加速する悪循環が起こる。
⓶アマゾン熱帯雨林の消失→CO2の吸収力が大幅に低下して温暖化が加速する。
③グリーンランドや南極の氷床の融解→世界的に海面が上昇し、気候が変動する。
これらの現象は既に進行中で対策が急務とされますが、逆戻りできない「ティッピングポイント」に入っているという科学者の厳しい見解が見られます。
理由4 大気中のCO2を吸収してくれる海や森林の機能が低下している!
海と森林は大気中のCO2を吸収して、気温を一定に保ってくれるバランス役としての機能を果たしてきました。昨今、その機能が低下していると報告されています。
次の図は大気に放出された#人為起源二酸化炭素109億トンのその後の行く末を赤い矢印で表した模式図です。2010年から2019年の平均値を一年あたりの値で表しています。
#黒の矢印は産業革命前の状態を表したものです
#109億トンは「人類起源二酸化炭素」と区分される量です。世界の二酸化炭素排出量は2020年で314億トンとされています。
引用:気象庁 人為起源炭素収支の模式図(2010年代)
109億トンの中、陸上で吸収される量が34億トン、海洋に吸収される量が25億トン、大気中に残留する量が残りの51億トンとなっています。
人間の活動で排出されたCO2の約半分が自然界に回収され、残りの50%が大気に蓄積されることが温暖化の原因です。
一方、地球温暖化で温められた海水は、CO2を吸収する能力が低下するとされます。気温があがると海水の温度が上がり、吸収されないCO2が大気中により多くとどまることになります。
2023年8月5日のBBCニュースによれば、地球の海水温度が史上最高を記録したとのこと。イギリスの海域では6月の海水温度が平均より3~5°高く、フロリダでは7月の海水温度が38.4°と大浴場並みの海洋熱波が襲っています。
2024年の世界の海水温度に関する具体的なデータはまだ発表されていませんが、気候変動の影響で海水温度が上昇している可能性が高いとされています。
また、植物生態系の主役である世界の森林は、速度が緩やかになっていますが減少傾向が続いています。林野庁作成「世界の森林面積の変化(1990-2020)」によれば、南米アマゾンやアフリカの森林減少が大きな要因となっています。農地や牧草地への転用、燃料用採取、温暖化による森林火災などが主な原因です。
大気中のCO2を吸収してくれる海や森林の機能が低下していることも、地球温暖化を止めにくい要因となっています。
ちなみに、産業革命以降に人類が自然界に排出したCO2の総量は6,850億トン炭素と推定されています。
海と植物が頑張って、CO2の約半分を吸収してくれたと大胆に仮定しますと、残りのおよそ3,000億トンの炭素が大気中に蓄積して温暖化を図っていることになります。
既に巨大な負債を抱えている状態で・・・海や植物の自然な吸収力がこれ以上低下するとさらなる事態の悪化が懸念されることとなります。
理由5 ”持続可能な発展目標”には地球がもう一つ必要?
”持続可能な発展目標”はもはや存在しないかもしれません。
SDGs持続可能な発展目標13は「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」となっています。これさえ実行できれば人類の未来はなんとかなる、と私は思っていました。
しかし、”気候変動における持続可能な発展目標”は、地球のどこを探したら見つかるのでしょうか?
そういえば・・・「70億人を超えてしまった地球の人類を養うためには、2030年には地球が2つ必要になる」と環境保全団体のWWFが2008年に警鐘を鳴らしていました。私たちは未来の人類に残すべき地球の資源を使いすぎて、すでに危機的状況に陥ってしまっているのが現状の姿だとWWFは訴えたのです。
最近になってようやく、人類の活発な経済活動が地球温暖化を進め、異常気象などの自然災害を起こしているのだとみなされるようになりました。
異常気象による被害は、自然災害ではなくて人的災害とよぶべきでしょう。“持続可能な発展目標”を目指そうとしても、(自然による温室効果ガスの吸収力を含めて)地球の資源には限界があります。地球の人口は70億人どころか、すでに81億人を超えてしまいました。
人類を養うためにはもう一つの地球をみつけないと駄目かもしれません!
灼熱の気温上昇にいまから備えるべきこととは?
国連は2024年10月、COP29の開催を前にして、「このままでは世界の平均気温は今世紀末までに最大で3.1度上昇する」という警告を発しました。
国連によれば、これは世界にとって「破壊的」なもので、熱波や洪水などの異常気象が劇的に増えるとしています。3.1度の上昇という数字は、屋外での仕事や、真夏の外出はほとんどできない灼熱地獄になるということです。
科学者によって未来の上昇温度の予測値に大きな開きがありますが、国連発表の数字は現実に起こりうる事態として正しく認識する必要があると思われます。
ここでは、気温が3.1度にまで上昇する最悪の事態に備えるために、私たちが今からできることを具体的にピックアップしました。
温暖化を軽減する効果が期待できますので、ぜひ参考にしてくださいね。
1.自分の電力は自分で作る
再生エネルギーで自給自足のカーボンニュートラルを目指そう!
・太陽光パネルと蓄電池をセットで併用する
・エアコンの停止など不意の停電に備えておく
・売電で費用対効果が上がることも
・マンションなら管理組合での検討も
2.住居を省エネ型や防災型に
家庭のエネルギー消費の30%を占める冷暖房を省エネ型に。
・夏に熱を侵入させない日射遮蔽(植栽・ブラインド・遮熱複層ガラスなど)を設置
・冬に熱を逃がさない断熱材の設置
・地下室や防災シェルターなど安全で涼しい場所も
3.家庭菜園をはじめる
異常気象による農作物の不足に備えて家庭菜園を始める。
・自宅の庭やマンションの緩衝地・ベランダを活用
・野菜や育てやすい根菜など高温に強い非常食がおすすめ
・裏庭などの日陰ではシイタケの栽培も楽しめますよ
4.みんなが肉を食べる量を減らせば気候変動と戦える
食料生産は世界の温室効果ガス排出量の約26%を占めており、その最大の原因は家畜にあるとされています。
・家畜の生産には膨大な植物由来の食料が必要となるので、食べる肉の量を減らせばCO2を減少できる
・特に牛のゲップはCO2より強力な温暖効果ガス・メタンを発生させる厄介者
・肉の消費が多いイギリスなど欧米を中心に代替肉の開発など肉類の消費削減が積極的
5.コンパクトなライフスタイルに見直す
気温の上昇が1.5度以内に収まらず、3.1度以上の上昇が想定されるときに準備したい対策です。生活の基盤を、気候変動に備えて移動しやすいスタイルにスリム化しておくことが必要となるかもしれません。
・住環境のコンパクト化・賃貸などによる柔軟性
・生活必需品のコンパクト化
・生活資金の簡便化・手元資金も
・安全な移動先への検討・検証も
6.自然災害への準備・対策
全ての家庭で台風・洪水・火事・熱波などの災害への対策・準備が必要になるでしょう。以下は必須です。
・避難先・避難ルート・移動手段の確認
・食料・水・医薬品などの備蓄
・家族間の緊急情報ネットワークの確認
・近隣との協力ネットワーク体制
最後に
終戦後、食料不足の時代に、父に連れられて神崎川の川べりの親戚の土地で育てたサツマイモの収穫に兄弟4人で出かけた記憶が鮮明によみがえります。砂地なのによく育っていました。育ち盛りの兄弟には貴重な食料源でしたよ。
「自然と人間とどちらが大事と思う?」
”自然との共生”など話題にもならなかった昔のある日、もと大阪市の天王寺動物園長で大阪市立自然史博物館を創設した動物学者の「故・筒井嘉隆」館長が中学生の私に聞きました。
「そんなもん人間が大事に決まってるやんか。そんなこというてるからうちの家いつまでたっても貧乏なんや!」と答えていました。
黙ってしまった父の寂しそうな顔が今でも脳裏に焼き付いて離れません。
この記事は父への贖罪です。
おやじ!ごめんなさい。それから・・・ありがとう。
このテーマはこれからも追いかけ続ける予定です。
(続く)
下條 俊隆
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