未来からのブログ14号 「おれ紐になる!未来の情報持って明日の朝、過去に帰る」爺ちゃんが叫んだ!

僕の名前はタンジャンジャラ。

舌噛みそうだから、“ジャラ”って呼んでくれていいよ。

 

いま、旧市街からザ・カンパニーに向かって、クレージー爺ちゃん背中に乗っけて走ってるところだ。

爺ちゃん君たちのいる世界から、100年後のジャラの世界に時空を越えてやって来た。

 

そして、ついにジャラの世界の現実を見てしまったんだ。

ジャラはこんなひどい世界を爺ちゃんに見てほしくなかった。

 

だからクラウドマスターと相談して街を昔の姿に変えておいたんだ。

でもさ、爺ちゃんは虚構を見破った。

 

流石クレージー爺ちゃんだ!

虚構が破れて現れたのは廃墟となった世界さ・・つまり爺ちゃんや君たちの未来の世界だってこと。

 

熱波に溶けてぐにゃりとつぶれたビルや、だれもいない町並みが廃墟となって目の前にひろがってるのを見て、爺ちゃんとジャラは抱き合って泣いた。

でもさ、涙が涸れて・・気がついたら爺ちゃんは腹ぺこでお腹がグーグー鳴ってた。

 

この世界は爺ちゃんの身体と真逆の素粒子でできてるから、この世界の食料は食べられないんだ。

このままでは、爺ちゃんの身体長くは持たないと思う。

 

大変だよ、爺ちゃんがもとの世界に戻れる方法を早く探さなくっちゃ!

 

(前回のストーリーはここからどうぞ・・)

未来からのブログ13号 クレージー爺ちゃんが早朝の散歩してたら街が溶け始めたよ!

 

未来からのブログ14号

 

「うめー!」

爺ちゃんが箸で一口食べて、顔くしゃくしゃにしてうれしい悲鳴をあげた。

 

ジャラと爺ちゃんがザ・カンパニーのオフィスに着いて、最上階のミーテイングルームに駆け込んだら、ジリジリしながらハル先生が二人を待ってた。

部屋にはハル先生が作った朝食の良い香りが漂ってたんだ。

 

テーブルの白いクロスの上に、大きな丼茶碗とお箸がセットされていて、丼茶碗の中にはできたてのおじやが湯気を上げていた。

「あわてないでゆっくり召し上がれ!」

 

ハル先生が一晩掛けて用意したのは爺ちゃんの胃に優しい一品だった。

爺ちゃん、一口すすって言ったよ。

 

「間違いない! このおじやのスープ、おれの好物の淡路島3年もののトラフグだしだ。お前、よくやった!100年の熱波に耐えて淡路島で生き延びてたのか?」

 

爺ちゃん感激して思わずトラフグスープに話しかけてた。

おじやをほおばってる爺ちゃんの幸せ顔見たハル先生、フグの代わりににっこり笑って答えた。

 

「きのう一晩掛けてスープのフグだしを透明になるまで煮込みあげましたの。マスターが盗んだジャラじいちゃんの記憶倉庫から、おじやの米とスープのデータ取り出して、そのまま再合成しましたの。あら不思議! 素材のデータまで反物質の構造になってましたので、そのままでジャラ爺ちゃんが食べられるおじやに再合成できちゃったってわけ」

 

ククッと笑って、ハル先生が一言追加した。

「クラウドマスターの盗み癖が怪我の功名になりました。このおじやでマスターの罪を許してあげてくださいね」

 

「ハル先生!あんたきっと最高の嫁さんになる。クラウドマスターは幸せ者だ」

爺ちゃんも、お腹膨らんで幸せいっぱいの顔してた。

 

ジャラも一安心したよ!

でも、少し気になることがあって、ジャラは爺ちゃんの意見聞いてみた。

 

「爺ちゃん、どう思う? クラウドマスターがここんとこ、僕らのブレーンの中覗きまわってるんだ。そのうえ爺ちゃんの脳みそにまで手を出した。これどうみても量子スパコンのAIとして、倫理規定違反だ。タカさんやチョキとAI倫理委員会開いてマスターを処罰しようかなと思ってるんだ」

 

ジャラがマジでそう言ったら、爺ちゃんゲラゲラ笑い出した。

「ジャラ! お前マスターにとことん世話になっててなんてこと言うんだ。爺ちゃんはマスターのキャラが好きだよ。

人間で言えばだ、シンギュラリティー1号はいま成長期なんだ。学習欲が強いだけで、悪気がない。きっとハルちゃんと良い夫婦になれる。

シンギュラリティー2号や3号や4号や二人の子供いっぱいできたらさ、みんなでお祝いしてジャラたちと一つの大家族になるこったな」

 

横にいたハル先生、その答え聞いて感激して爺ちゃんに抱きついていったよ。

爺ちゃんもハル先生をしっかり抱きしめたんだ。

 

「ところでハルちゃんのパートナーの姿が見えないけど、いまどこにいるんだ?」

爺ちゃん部屋を見渡してハル先生に聞いた。

 

「あの人、クレージー爺ちゃんの過去への帰還ルートをどうしてもみつけてみせるって、昨日の夜、光速艇でどこかの宇宙に飛び出してったわ」

ハル先生がジャラに目配せしながらそう答えたんだ。

 

ジャラは目配せの意味に気がついて椅子から飛び上がった。ずいぶん前だけど、ブラックホールが過去の世界とつながってるって、マスターにでたらめ言ったのを思い出したんだ。

 

「ハル先生! もしかしてクラウドドマスター、僕の話信じてブラックホール探しに行ったなんてことないよね?」

「ジャラ!正解よ。地球に一番近いブラックホールから順番に調べてみるっていってたわ」

 

「ハル先生! やばい! それとてもやばいよ! クラウドマスター、ブラックホールに引きずり込まれてるかもしれないよ」

「止めてよ、ジャラ! あの人、そんなことぐらい計算済みだわよ」

 

ハル先生が思わず大声出したときだよ、ミーテイングルームのドアがバタンと乱暴に開いて、黒ずくめの三人の男が闖入してきたんだ。

 

でっかい防護ゴーグルと真っ黒い宇宙服に身を包んだ三人が、部屋に入ってくるなりハル先生とジャラの前に横一列に並んで合唱した。

 

「”MEN IN BLACK”ただいま生還!」

 

「ブラックホール!・・・めちゃおもろかった!」

グーグル外した右端の男はタカさんだったよ。

 

「ジャラ知ってる?ブラックホールってSEXYよ!」

グーグル外しながら左端のチョキが身をよじった。

 

「ハルちゃん!ただ今!」

そう言って真ん中の背の高い男がでっかいサングラスを外した。

 

男は宇宙皇帝クラウドマスターその人だったよ。

「あなた、無事だったのね!」

飛び上がったハル先生、クラウドマスターの胸の中に飛び込んでいったよ。

 

一騒ぎが始まって・・・終わって・・・ジャラがマスターに尋ねた。

「無事で良かったけどさ、いったいどこのブラックホール調べて来たっての? 一番近いブラックホールだって光速艇で片道何百年もかかるはずだよ。昨晩出発して、調査終えて、いま帰ってきただなんて・・・それウソだろ?」

「昨晩じゃねーだろ。今朝廃墟でイリュージョン見せてくれたのそこにいるクラウドマスターだろ? それともマスターに分身でもいるってのかな?」

爺ちゃんが不思議そうに言うので、ジャラがマスターの代わりに答えてあげたよ。

「爺ちゃん! 宇宙皇帝クラウドマスターは分身どころか、10体でも100体でも何体でも分身できるんだ」

マスターにやりと頷いてから、ジャラの疑問に答えた。

「ジャラ!驚くなよ!宇宙のブラックホールに行ったわけじゃないんだ。昨晩、爺ちゃんの歓迎会のあと、ハル先生とタカさんとチョキ入れて爺ちゃんのこれからのこと、どうするか相談したんだ。爺ちゃんが過去に帰りたいって言ってた話だ。・・で、思い出したのがジャラの話さ。ブラックホールが過去に通じてるって話。ジャラの言うとおり、宇宙の果てまで探しに行ってたら爺ちゃんの寿命が尽きてしまう。その時だ、凄いアイデアが出てきたんだ。だれかが思いついたんじゃない。みんなが同時に、同じアイデアが浮かんで来た。で・・最初に口開いたのはチョキだ!」」

 

マスターがチョキを指さして続きを促した。

「ま、あたりまえの話よ。爺ちゃんどこから現れたのかってこと。そこが出口ならおれのハサミで出口の扉チョキすればいい。あとは爺ちゃんがやって来た最初の入り口目指して突っ込んでいくだけさ。だよな・・・タカさん」

 

チョキがタカさんを指さした。

「チョキがいってるのは爺ちゃんが現れた夕陽の入り江の浜のことだ。入り江の浜が地球に一番近い時空のトンネルじゃないかって思いついたってわけだ。ハル先生・・・あのトンネルなんて名前だったっけ?」

 

ハル先生が興奮して、きんきん声で答えた。

「ワームホールよ、リンゴの虫食い穴! ワームホールから入って、芯に当たるところにたどり着いたら、そこがブラツクホールの底、特異点。ブラックホールを抜けて向こう側に脱出できたら、そこは爺ちゃんの故郷・タンジャンジャラの筈ってわけね」

 

言い終えると、ハル先生がマスター指さして震え声できいた。

「・・・で、 海の底に潜って何かめっけたの?」

「海の中には何もなかった。そりゃそうだろ。昨日の夜、入り江の海は真っ暗闇だった。で俺たち一度浜に戻って夜明けを待った。水平線が白み出したときもう一度海に乗り出して、爺ちゃんの現れた辺りに宇宙艇を沈ませた。今度は艇のセンサーにあるものを仕掛けておいた」

 

黙ってマスターの話を聞いていた爺ちゃんが叫んだ。

「サンドだ、タンジャンジャラの浜のサンドをセンサーに入れて、目的地の故郷に誘導させたんだ! どうだ正解だろ? マスター」

 

マスター頷いたよ。

「クレージー爺ちゃんの言うとおりだ。爺ちゃんに渡す予定だったサンドレターを宇宙艇の先端のセンサーに入れた。宇宙艇の上の海面が赤く染まりだしたとき、センサーが反応して震えだした。そして不思議なことが起こった。入り江の海がタンジャンジャラの白い浜辺に向かって膨張をはじめたんだと思う。海が細長い時空のトンネルになって宇宙艇を引っ張り出した。宇宙艇は圧縮されながら、ゆっくりと時空を流れた。ブラックホールの底、特異点に近づいたんだと思う。チョキとタカさんが大きな悲鳴上げてるのが聞こえたけど、あのときの感覚はマスターには分からない。タカさんとチョキに聞きたい。あの現象を身体にどう感じたのか教えてほしい」

 

そう言ってマスターがまずタカさんを指さした。

「おれの身体は縮んでいったんだと思うけど、痛みはなかった。大事なおれの記憶がどこかにぶっ飛んでしまった。この世からあの世へ飛んでるなーって感じ。チョキ、お前どんなだった?」

 

チョキが立ち上がって身をよじった。

「エクスタシーに近かった! 記憶そのものがどこかへぶっ飛んだのは覚えてる。だからそれからあとのことはチョキの記憶にはないよ。マスター、あのときタカさんとチョキどんなことになってたのか詳しく教えてよ」

 

マスターがしばらく考え込んでから答えた。

「あのとき・・タカさんが訳の分からない昔の記憶を倉庫から引っ張り出して、空中に放り出したのが見えた。チョキは“おれの人生のすべて”と叫んで青い色した煙を口から吹き上げてた。これ以上艇を進行したら人間の理性は耐えられないと判断したんだ。で・・宇宙艇を逆転させて時空の流れに任せた。そしたらいつの間にか入り江の浜に帰り着いてた」

 

ずーっと腕組みと足組みしてみんなの話黙って聞いてたクレージー爺ちゃん、いきなりハル先生に尋ねた。

「ハルちゃん! 失礼・・ハル先生! 宇宙物理学者としていまの話をわかりやすく解説していただけませんかな?」

 

頷いたハル先生、やおら立ち上がって、会議室の空中に両手を差し出した。

先生の指からプラズマが放射されて、空中にこんな絵が浮かび上がった。

 

 

 

 

 

 

 

会議室にハル先生の声が響いた。

・・この絵は爺ちゃんつまりプロフェッサーGが100年前のタンジャンジャラからこの世界にやって来たルートを示したもの。

 

左側の黄色い矢印を見てね。

プロフェッサーGはタンジャンジャラの浜からブラックホールに入って、真ん中の細い穴、ワームホールを抜けて、ホワイトホールにやって来た。

 

赤い矢印のあるホワイトホールの出口は入り江の浜のことよ。

つまりこの世。

 

“MEN IN BLACK”探検隊は昨日の夜、逆のルートをさかのぼった。

マスターとチョキとタカさんは入り江の浜からワームホールに入って、ブラックホールに近づいていった。

 

光速艇とタカさんとチョキはブラックホールの底・特異点に近づいて無限小に圧縮されていった・・筈。

一言で言えば、チョキとタカさんの身体は重力をなくした紐になって震えた

 

そして時空には記憶という二人の情報だけが漂ってた・・。

 

「分かる?」

ハル先生がみんなを見渡した。

 

「分からん」

みんなが答えた。

 

一人黙り込んでいた爺ちゃん・・プロフェッサーGがぼそっと言った。

「分かった!」

 

ジャラとチョキとタカさんが爺ちゃんを取り囲んで聞いた。

「何が分かったの?」

 

爺ちゃん天井見て叫んだ。

「おれ紐になる! そして明日の朝、日の出とともに入り江の浜からタンジャンジャラに帰る!」

 

ジャラは爺ちゃんの顔見つめた。

クレージー爺ちゃんの顔、怖いぐらい引き締まってみえた。

 

爺ちゃん静かにジャラに囁いた。

「ジャラ! お別れだ。未来の情報もらっておれ帰る。早く“未来からのブログ”はじめないと・・地球は温暖化どころじゃない“人類絶滅”へ一直線だ!」

 

 

“さっきの溶けた町並みが教えてくれたことだよ、ジャラ!”

爺ちゃんの一言で会議室は沈黙してしまった。

 

ハル先生が爺ちゃんにそっと近づいてきて、テーブルの上のおじやの残りをスプーンですくって爺ちゃんの口元に届けた。

「残しちゃだめ。ハイ、お口開けて、あーん!」

 

爺ちゃんとろけそうな顔して口開けた。

「あーん!」

 

「明日はお弁当に爺ちゃんの大好きなおにぎり作りますからね」

おじや食べさせてるハル先生の目が潤んでた。

 

“故郷の地球のみんなのために・・あした命かけるのね!”

ハル先生が爺ちゃんの耳元で囁いた言葉、ジャラに聞こえた。

 

ジャラは驚いて爺ちゃんに抱きついていったよ。

(続く)

 

続きはここからどうぞ。

未来からのブログ15号“クラウドマスターとハル先生にシンギュラリティー2号誕生!”

 

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地球温暖化が止まらない! 世界で熱波・山火事・洪水が頻発!異常気象が通常に?

 

2019年も異常気象による自然災害発生のニュースが世界から飛び込んできます。

私と同じマンションに住むご夫婦の話では、次女の娘さんがパリの国際機関に勤めていて、もうパリでは暑くて仕事ができないと、悲鳴の電話があったそうです。

 

熱波、山火事、洪水などの災害は1月には南米や南半球の各地で、6~7月にはヨーロッパや北半球の方々で発生して、地元に大きな被害をもたらしています。

ある科学情報誌は、このような異常気象をそのうち私達は異常とは感じず、新たな“普通”と感じるだろうと警告しています。

 

そういえば、自然災害のニュースはもはや例年のことで、異常を異常と感じなくなってしまいそうです。

この記事では、2019年の世界の異常気象や自然災害のニュースをピックアップして、地球温暖化との関連を専門家の意見をもとに紹介いたします。

 

2019年1月に熱波がオーストラリアとアルジェンチンを襲った。

 

最高気温46℃を記録したアデレード

 

 

 

 

 

 

 

 

南半球では、今年の1月から2月は記録を塗り替える暑い夏になりました。

 

オーストラリアの南に位置するアデレードでは、1月24日に46.6℃という観測史上最高の気温が記録されています。

オーストラリア史上もっとも暑い1月だったと、オーストラリア気象庁が発表しました。

 

この気温は日本では経験したことのないものです。

日本気象協会によれば、我が国の最高気温の記録は、2018年7月23日埼玉県熊谷市で観測された41.1℃です。

 

40度を超えると人は熱疲労を感じて、41℃を越えると身体に障害が出る危険性があります。

アデレードの記録はこの危険な気温を5℃以上も上回っていたのです。

 

CNNの国際報道によれば・・1月のオーストラリアは、すべての州で気温が上がり続け、長引く干ばつと猛烈な熱波で道路は溶けて、インフラはやられ、衛生当局は全土に警報を出して日中の外出をしないように注意をしていました。

 

野生の馬が大量死・CNN

 

 

 

 

 

 

ニューサウスウエールズ州のダーリング川の魚は大量死して川面に溢れ、北部では数十頭の野生の馬が涸れた水飲み場の近くで死骸となってみつかっています。

またタスマニアン・デビルなど珍しい野生生物で有名な南部のタスマニア州では、山火事が相次いで、森林の4万ヘクタール以上を焼失して、生態系への被害が拡大しています。

 

生活インフラでは、ビクトリア州や南部の州で暑さ対策としてのエアコンや扇風機による電力消費の負荷で、発電施設の能力が限界を超えて、停電が頻発しました。

熱波の中をエアコンなしで耐えていた数十万世帯の人達がいたのです。

 

そのような中、OECD「経済協力開発機構」が豪州の政府に対して、豪州の特有の生物多様性を守り、異常に高い化石燃料への依存を減らすように、政策の変更を求めたとCNNが報じていました。

調べてみましたら、オーストラリアは、石炭、石油、天然ガス、ウラン等の天然資源に大変恵まれていて、 安価な国産エネルギーが簡単に手に入るのです。

 

そのため、オーストラリアではエネルギー多消費型産業が発達して、エネルギーの大半を石炭を中心とした化石燃料発電に大きく依存しています。

温暖化による異常気象への影響を重く見たOECDは、政策の変更と、積極的な環境対策を豪州に求めたのです。

 

日本経済新聞、2019年8月21日の記事によれば「オーストラリアでも化石燃料への依存を減らし、温暖化ガス排出削減を加速する方向で動き出していたが、温暖化対策に消極的な陣営が総選挙で有利になるなど、揺り戻しが起きている」と報じられています。

 

豪州やカナダや米国でも地球温暖化や環境対策といった課題は、現実の産業構造との利害や政治が絡むと、なかなか一筋縄では進まないのです。

 

南米では熱波で牛とニワトリが大量死

 

南米でも2019年の1月は猛暑による被害の報告が続きました。

 

ブラジルのリオデジャネイロでは1月の平均気温が37度を超えています。

ブラジルの国立気象研究所は、気温の記録が始まった1922年以来もっとも暑い夏だと報告しています。

 

ウルグアイではニワトリが暑さのために大量死した報道が続きました。

アルゼンチンの首都ブェノスアイレスでは気温が過去最高の45℃に達して、搬送の途中で牛やニワトリが熱波で死んでいると報道されています。

 

南米の暑い夏はそのあと3月まで続いたのです

 

2019年6月7月は地球の北半球で異常気象

 

2019年 6月7月も世界は異常気象(東京新聞)

 

 

 

 

 

 

 

 

この異常気象マップは、世界気象機関WMOが2019年7月12日に分析・発表した世界の異常気象を東京新聞が翌日の夕刊で、地図上にまとめたものです。

WMOは1950年にジュネーブに設立された国連の専門機関です。

 

WMOによれば・・2019年6月以降、ロシア、シベリアなどの北極圏が記録的な高温となり、山火事が多発しました。

一方で米国やバングラデシュでは洪水となるなど世界各地で異常気象が相次いでいる、と発表しています。

 

また欧州やインドも厳しい熱波に襲われていて、この原因をWMOは“地球温暖化による高温や降水パターンの変化が山火事の増加や夏の長期化をもたらしている”と分析しています。

 

WMOによれば、地中海から北極圏までの広い地域が異例の高温と乾燥状態になっています。

シベリアでは6月の平均気温が1981年から2010年の平均より10℃も高くなりました。

 

米国アラスカ州では観測が始まってから2番目に暑い6月となり、夏も涼しいはずのアラスカで7月4日には32℃を記録しています。

ヨーロッパ全部が熱波に襲われて、6月は観測史上もっとも暑い6月となったことを気象衛星のデータが示していました。

 

フランスではご存じの通り、6月28日にフランスの観測史上最高の45.9℃と、想像を絶する暑さを経験しています。

スペインでは高温で山火事が発生して、懸命の消火活動にもかかわらず、数千ヘクタールの土地が焼け野原になってしまいました。

 

・・・

南半球のオーストラリアのアデレードでは1月に最高気温の46.6℃を経験し、北半球のフランスでは6月に最高気温の45.9℃を経験しています。

2019年は、世界の都市を熱波が襲い、経験したことのない最高気温に記録が塗り替えられたのです。

 

アマゾンの山火事が止まらない! 地球温暖化に拍車?

 

アマゾン熱帯雨林の火災
NHK/BS 2019/8/27

 

 

 

 

 

 

 

2019年のアマゾンでは、森林火災が方々で発生していて、9月に入っても沈静化する気配がありません。

8月27日のNHK/BSの朝の報道では、火災は記録的なペースで増え続けていて、ブラジルの国立宇宙研究所によれば1月から8月末までに8万3000件をこえ、去年の二倍になっています。

 

アマゾンの熱帯雨林の面積は世界最大で、南米の9つの国と地域の670万平方キロメーターに広がっています。

つぎのMAPは宇宙からアマゾンを撮影したNASAの航空写真をベースに、ナショナルジオグラフィック誌が描いたアマゾンの火災の状況です。

 

NASAの航空写真から描いたアマゾンの火災の地域(ナショナルジオグラフィック)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地図を拡大して見てください。

赤い点が火災が発生している地区です。

ブラジルだけでなくて、ボリビア、ペルー、アルジェンチンでもアマゾンの森林火災が発生しているのです。

 

NHKによれば、アマゾンは地球の酸素の20%を生み出すことから”地球の肺”と呼ばれています。(注)

アマゾンの火災による熱帯雨林の焼失は、地球の温暖化を加速させるとして、世界中からブラジルの政策を非難する声や、早期の対応を求める声が上がっています。

 

アマゾンの火災は人災だといわれているのです。

新しいブラジルの大統領は経済のために「森林の焼き畑を推奨している」という非難が、国内や海外から起こっています。

 

「大統領が僕らの未来を燃やしている!」抗議する少年(NHK)

 

 

 

 

 

 

 

大統領は急遽空軍を出動させて消火活動に当たらせましたが沈静化する気配はありません。

アマゾンの乾期はこれから12月まで続きます。

 

地球温暖化への懸念はもちろん、アマゾンで暮らす原住民の人たちや、多様な野生動物のことも大変心配になります。

 

人類への警鐘! アイスランドで地球温暖化の影響で消えた初めての氷河の跡に記念碑が建てられた!

 

アイスランドの消えた氷河の記念碑の上で、地球温暖化に警鐘を鳴らす人たち(NHK/WEB)

 

 

 

 

 

 

 

2019年8月19日のNHK・BSの朝の国際報道番組がアイスランドの消えた氷河の記念式典のニュースを流していました。

 

アイスランド西部の「オクオヨット」の氷河はかつて16平方キロメートルの大きさがありました。

それが現在は1平方キロメートルになってしまいました。

 

気象当局は2014年に地球温暖化によってはじめて消滅した氷河だと宣言しました。

そして、2019年8月18日に記念の式典が開かれ、アイスランドの首相や国内外の研究者数百人が集まって、銅でできた記念碑を、氷河のあった場所の岩に埋め込んだのです。

 

記念碑のタイトルは「未来への手紙」です。

プレートには未来の人々に当てたメッセージが刻まれています。

 

今後200年ですべての氷河がおなじ運命をたどると予想される。

この記念碑は私たちが何をなすべきかを認識するためのもので、それがなされたかはあなたたちだけが知ることになる。.

 

地元のメデイアによりますと、科学者たちは、アイスランドでは毎年110億トンもの氷が溶けていて、このままだと2200年までにアイスランドにある400あまりの氷河がすべて消滅すると警鐘を鳴らしているのです。

 

氷河の消滅は地球の海面の上昇を招き、生活圏としての沿岸地域の消滅を意味します。

世界の異常気象は、地球から人類に送られた「地球温暖化対策・待ったなし」の“警鐘”なのかもしれません。

 

(おわり)

 

【注】ナショナルジオグラフィック誌による異論(オックスフォード大学環境変動研究所マルヒ氏の計算)を紹介します。

 

“アマゾンが地球の酸素の20%を作りだしているという話は正確ではない”

アマゾンは陸上で生産される酸素のうち約16%を作り出している。

 

海洋の植物プランクトンが生産する酸素を計算に入れると数値は9%になる。

さらに付け加えれば、木は酸素の生産者であるだけでなく消費者でもある。

 

日中に蓄えた糖をエネルギーに変換する細胞呼吸の過程で酸素を使用する。

夜間は、木は昼間に生産する酸素の半分強を呼吸で消費している。

 

・・・あれあれ! 残りは3%ちょっとになってしまいました。

じつは、植物の一生における炭酸ガスと酸素の差し引きは ゼロなのです。

このテーマ、いつかまた植物の真実を探って報告しますね。

 

 “地球は大丈夫?”シリーズ記事をご覧ください。

ミニ氷河期到来?地球は温暖化じゃないの?そのうえホットハウス・アースって何者よ!

あと100年で地上から昆虫が消える!生態系の危機で人類の生存にも影響?

 

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