クイズ!地球の哺乳類を4つに分類「人類、野生の哺乳類、ペット、家畜」個体数の多い順番は?

いきなりクイズです。

地球上の哺乳類「生まれてからしばらくは母親からの授乳で成長する動物」をつぎの4つに分類してみました。

  1. 私たち「人類」
  2. 虎やライオン、猿など「野生の哺乳類」
  3. 犬と猫を合わせた「ペット」
  4. 牛、豚、羊などの「家畜」

個体数の多いのはどれでしょうか?

多い順番に並べ替えてください。

友人の自営業30代男性に質問したら答えは・・1位 野生の哺乳類 2位 家畜 3位 人類 4位 ペット でした。

あなたの答えはいかがでしょうか?

じつは、正しい答えは“不明”なのです。

人類、家畜、ペットについては信頼できるデータが存在しますが、自然の中で棲息する野生の哺乳類は固体数を確実に捕捉する調査が困難で、科学者や関係者は“unknown ”(不明)と言わざるをえないのです。

特に個体数が不明な哺乳動物はネズミ種とコウモリとリスです。

野原や地下や暗闇に隠れて棲息するネズミや、大自然の山奥や断崖絶壁の洞窟に巣くうコウモリや、樹上で動き回るリスの個体数は科学者によれば“unknown”になります。

しかし、私のような素人が研究発表されたいろいろな記事から大胆に推定することは自由です。

人類以上の大量棲息が推定される野生のネズミは個体数がunknown(根拠のある調査資料が発見できませんでした)につき、とりあえず引き出しにしまいました。

また、うさぎについては推定7億とされています。(後述)

大変大きな数字ですが、小型の哺乳類であることと、野生のうさぎと家畜やペットとしてのうさぎとの区分が不明であることから、今回の調査からは対象外としました。

・・ということで、一部の小型哺乳類の存在には目をつぶって、比較的大型の地球上の哺乳類の個体数を大胆推定してみました。

地球の哺乳類の数 1位は人類、2位は家畜、3位はペット、4位は野生の哺乳類

地球上の哺乳類の個体数

上の円グラフをご覧ください。

大胆推定の結果、 地球上の哺乳類の個体数は人類が72億で全体の半分以上を占めて1位です。

2位が家畜哺乳類の50億で全体の36%を占め、3位がペットの15億で10%でした。

人類と、人類の飼育している家畜と、人類の飼っているペットを合わせると地球上の哺乳類140億の中137億5000万となり、全体の98.2%を占めています。

98.2%の残りはわずか1.8%です。

野生の動物はいったいどこへ行ったのでしょうか?

ある資料からヒントを手に入れて、大胆に推定した結果は野生哺乳類にとって残酷なものでした。

地球上に棲息している野生の哺乳動物は、すべての種を合わせても、わずか2億5000万頭しか生存していないという寂しい結論になってしまったのです。

これが大胆推定の結果です。

1位 人類 72.7億
2位 家畜 50億
3位 ペット 15億
4位 野生動物 2億5000万

計算の根拠となった統計の出所をご説明します。

人類の総人口、家畜の個体数はFAOの統計(2014年統計。2017年修正)からデータを取りました。

FAOは国際連合食糧農業機関で、データの数字は信頼がおけます。また、家畜の個体数には、犬と猫は食料ではないので、含まれておりません。

ペットの個体数はworldatlas.comのデータ(後述)から犬と猫の総数を合算しました。

問題は野生の哺乳類の個体総数をどのようにして推定するかでした。

大胆推定の論拠となったのは一つの記事でした。

2018年8月1日付けのWEF(ワールドエコノミックフォーラム)が発表したグローバルアジェンダ(行動計画)の一節からヒントを手に入れて野生哺乳類の個体数を推定しましたので、その原文を紹介します。

記事は名門大学の生物学者と生態学者を対象にした非公式な調査によって明らかになったこととしています。

長文ですが、WEFのアジェンダを原文のまま引用します。

地球史に人類が登場した時点から今日まで、地球の総生物量は半減しています。これは、農地や放牧地を作るために人間が森林破壊を行ってきたことに大きく起因しています。

こうした数字は、これまでに人類がどれほど多くの生物体を絶滅に追いやったかという事実・・(略)・・を新たに気付かせるものでした。過去数世紀にわたり、野生哺乳類の総数は何倍にも減少。今日の家畜哺乳類の総数は野生哺乳類の20倍です。娘と一緒に遊んだジグソーパズルには、ゾウとサイの隣にキリンが描かれていましたが、地球の野生生物の総数からはひどくかけ離れたイメージです。もし、現在の生物量を踏まえてこのイメージを考え直さなければならないのなら、そこには牛が描かれ、その隣に牛、またその隣に牛、そして豚、という何ら面白みもない絵柄であるべきだということになります。

ということで野生の哺乳類の頭数は“家畜50億×1/20=2.5億としました。

(注:文面から、ここで言う野生哺乳類にはネズミや野生のうさぎ、コウモリなどの個体数を補足できない小型哺乳動物は含まれていないと推定されます)

できあがった大胆推定の結果が指し示すものはグラフを一目見れば明らかでした。

人類の子供たちの友達であるべき野生の哺乳類は、人類に追いやられていまやレッドゾーンの状態だということです。

もう少しイメージを明確にするために、哺乳類の種類別の個体数を調べてみました。

地球上の哺乳類で個体数の多い種類ベスト10を調べてみた!

はたしてライオンや虎、象など子供たちの大好きな動物はベスト10に姿を現してくれるでしょうか?

worldatlas.comが2019年の3月に修正・発表した哺乳類の個体数の記事がみつかりましたので、個体数の多い順番に10位まで並べてみました。

  1. 人類   76億
  2. 牛    15億
  3. 羊    11億
  4. 豚    10億
  5. 犬      9億
  6. 山羊   8.6億
  7. うさぎ  7.1億
  8. ねこ    6億
  9. 水牛   1.7 億
  10. 馬    0.6億

worldatlas.comより)

哺乳類種類別個体数順位

棒グラフにしてみると人類が飛び抜けて個体数が多くて、野生動物は10位には顔を見せてくれません。

人類のつぎには牛や豚の家畜と犬や猫のペットが並んでいます。

うさぎが7位で個体総数も7億と多いのですが、先述のように補足しにくい小型の哺乳類であることと、野生のうさぎか、家畜やペットのうさぎかの区分がつきにくいことから、今回の調査の対象外としました。

(FAO出典の50億の家畜の中、うさぎは家畜として扱われず、数に含まれておりません)

水牛が9位にいますが、水牛も野生なのか家畜なのか区分が不明です。

リスとコウモリとネズミ類(mice,rat)は生息数不明となっています。

ということで・・

地球の哺乳類マップは、人類と人類の飼っている家畜と愛するペットたちで満員になってしまいました。

寂しい結論ですが、これが人類がもたらした地球の現実なのです。

まとめ

いま地球に生きている比較的大型の哺乳類の数は、人類と家畜とペットで98%を占めています。

ライオンやサイなど野生の哺乳類はいったいどのくらい生き残っているのでしょう。

“生物の多様性”はすでに失われたのでしょうか?

人類が地球の自然に大規模な変化をもたらしてきたことを指し示して、現代の地質年代は「人新生」と呼ばれています。

地球を我が物顔で独占している人類の世紀「人新生」は、次の世紀に何を残すのでしょう。

多様性の失われた自然界は人類の生存を許してくれるのでしょうか?

勝手な人類のおかげで、哺乳類全体のわずか2%に減少した野生の動物のことがとても心配になります。

次号では、子供たちの大好きな哺乳動物をピックアップして最新の棲息状況と頭数を調べることにしました。

(続く)

続きはここからどうぞお読みください。

「ワケあって僕たち間もなく絶滅します」ライオン・トラ・象・キリン・ゴリラはいま地球に何頭いますか?

ワケあって僕たちまもなく絶滅します②」チンパンジー、チーター、カバ、ホッキョクグマ、パンダはいま地球に何頭いますか?

追記1:バイオマスで見た哺乳類の総量

出典:地球上のバイオマス分布

https://www.pnas.org/content/115/25/6506

このグラフは地球上の哺乳類を個体数ではなく、重量でみた分布図です。

イスラエルのワイツマン科学研究所が2018年5月に地球上の生命体のバイオマス(重量:炭素量)を推計して発表したデータを基に編集しました。

先述のワールドエコノミックフォーラム(WEF)への寄稿もこの研究グループによるものです。

哺乳類の1位は家畜で、バイオマスは0.1GtC(ギガトン炭素)です。2位は人類で0.06GtC。野生の哺乳類は0.007GtCとなっています。

家畜が人類のバイオマスより多い理由の一つは、家畜が人間を大きく越えた重量を持つ牛と豚で主に構成されていることによるものと推定されます。

理由の二つ目は、ペットの犬や猫が家畜化された哺乳類として家畜に含まれていることが考えられます。

また、野生の哺乳類のバイオマスにはネズミ類などの小型の動物も含まれていると推測されます。

野生の哺乳類のバイオマス構成率は4.4%と、先述の個体数の推定値1.8%より増えていますが、家畜の総量は野生の哺乳類の14倍もあります。

バイオマスの比較でみても、野生の哺乳類が危機的な状況であることに何ら変わりがありません。哺乳類のバイオマスは人類と家畜が支配しているのです。

レポートによれば家畜家禽(鶏)のバイオマスも野鳥の総量の約3倍と推定しています。野鳥の生態系がどうなっているのか気がかりです。

追記2:日本の哺乳類とネズミの個体数

世界におけるネズミの個体数のデータは不明ですが、我が国のデータがありました。

相当古いですが、平成13年4月に行われた我が国の第2回生物多様性国家戦略懇談会に提出された推定資料を紹介します。

データのタイトルは「日本全国における各種哺乳類の推定個体数」です。

推定個体数は1位がアカネズミ、僅差で2位がヒトどんと離れて3位に野ウサギという結果です。

日本では野生のネズミであるアカネズミが個体数推定においてヒトを少し上回っていました。

ただし、アカネズミの体重は0.04kgなのでヒトの体重を70kgとして換算しますと、推定現存量(体重換算)ではヒトの0.05%程度になります。

いろいろな種類の野生のネズミが世界中に棲息しています。

さらに人類の生活圏で暮らす推定不可の数の家ネズミがいます。

地球規模でみてネズミが一番個体数が多い可能性を否定できません。

地球の哺乳類の個体数マップはネズミとヒトでほとんど満杯というひどいことになっているのかもしれませんね。

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下條 俊隆

下條 俊隆

ペンネーム:筒井俊隆  作品:「消去」(SFマガジン)「相撲喪失」(宝石)他  大阪府出身・兵庫県芦屋市在住  大阪大学工学部入学・法学部卒業  職歴:(株)電通 上席常務執行役員・コンテンツ事業本部長  大阪国際会議場参与 学校法人顧問  プロフィール:学生時代に、筒井俊隆姓でSF小説を書いて小遣いを稼いでいました。 そのあと広告代理店・電通に勤めました。芦屋で阪神大震災に遭い、復興イベント「第一回神戸ルミナリエ」をみんなで立ち上げました。一人のおばあちゃんの「生きててよかった」の一声で、みんなと一緒に抱き合いました。 仕事はワールドサッカーからオリンピック、万博などのコンテンツビジネス。「千と千尋」など映画投資からITベンチャー投資。さいごに人事。まるでカオスな40年間でした。   人生の〆で、終活ブログをスタートしました。雑学とクレージーSF。チェックインしてみてくださいね。

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