ぼくの名前はタンジャンジャラ。
“ジャラ”って呼んでくれていいよ。
ぼくのじいちゃんが、タンジャンジャラの浜から100年の時を越えてぼくらの世界に姿を現したんだ。
ボブが、量子もつれの呼び出し暗号を間違って言ったもんだから、じいちゃんは時空の嵐に吹き飛ばされて僕らの世界にやって来た。
「じいちゃんぼくボブだよ。暗号間違ってごめんなさい!」
ボブが恥ずかしそうに近づいていって、じいちゃんに謝った。
「謝らなくったっていいんだよボブ。ボブのおかげで、こうしてみんなに会えたんだからな」
そう言ってクレージーじいちゃんはボブを慰めたんだ。
でもさ、じつのところ、じいちゃんはがっくりきてたんだよ。
だってじいちゃんはもう元の世界に戻れないかもしれないんだ。
じいちゃんが過去に戻れないと、このブログ読んでくれてる君の地球は、“絶望の未来”への道から正しい軌道修正ができないかもしれないよ!
(前回の話まだの方は、ここから読んでくださいね)
未来からのブログ11号 クレージーじいちゃんが時空を越えてやって来た!
未来からのブログ12号 クレージーじいちゃんは過去に戻れずに途方にくれたよ!
「ジャラ、相談がある。まだボブには言うなよ。じつはじいちゃんはもう元の世界に戻れないかもしれないんだ」
プロフェッサーGつまりジャラのじいちゃんがいきなりぼそっといったんだ。
ご存じ、ザ・レストランでのことだ。
ジャラは驚いてワインでむせてしまったよ。
で、まず経過を報告するよ。
じいちゃんが入り江の浜に打ち上げられたあと、みんなでザ・レストランに移って、じいちゃんの歓迎会をすることになったんだ。
テーブルにはじいちゃんの好物の生牡蠣と神戸牛の刺身、それにワインが紅白でセッティングされてた。
料理運んでくれたマスターをよく見たら、ヒップがすこし凹んでたみたいだ。
宇宙皇帝・クラウドマスターって、いいとこあるでしょ。
タカさんとチョキが歓迎会のオープニング宣言してさ、ボブとクレアでじいちゃんのウエルカム・ソング歌ったんだ。
もち、あの歌だよ。
「ウエルカム ジージー・ニュー!」のリフレインさ。
御礼の挨拶したクレージーじいちゃん・・日焼けした肌の上に絹の白いブラウスざっくり着てさ、白い綿パンに、足元白いスニーカーでばっちり決めてたよ。
海水と時空の嵐でぐちゃぐちゃになったじいちゃんの衣服は、ハル先生がいったん預かって、あっという間にクリーニングされて戻ってきたんだ。
ハル先生は宇宙センターの主席AIで、じつはジャラ達人間へのサービス業の総括なんだぜ。
学校経営者でしょ、ザ・レストランのオナー兼シェフでしょ、結婚相談所と市役所の窓口でしょ、雑貨屋さんでしょ、それからクリーニング店の店長もやっちゃうんだよ。
ジャラたち市民の毎日の生活は、ハル先生が宇宙センターのマルチネットワークですべて面倒みてくれてるってわけ。
なんだって?
それじゃクリーニングする間、じいちゃんはどんな格好してたんだって?
そんなのパンツ一丁に決まってるじゃん。
そうだ、そういえばじいちゃんのパンツ、どこかで見た可愛い花柄模様だったよ。
クラウドマスターの宇宙おむつの花柄模様とそっくりだったんだ。
まるでベビーカーの中の双子の兄弟みたいにさ。
ぬれた服脱いだときさ、じいちゃんが派手な花柄パンツはいてるの見て、ハル先生、悲鳴上げて喜んでたよ。
ジャラのじいちゃん・・決めるときは決めるでしょ!
マスターはその時じいちゃんのパンツから目をそらしてしらん振りしてた。
マスターきっとどこかでじいちゃんのパンツの花柄見て盗んだんだと思うよ。
“ククッ!”
間違いないよ、ハル先生にもてるためにさ。
この件、ワイン飲みながら、プロフェッサーG・・つまりクレージーじいちゃんとジャラで秘かに分析してみたらこんな結論が出たよ。
じいちゃんのキャラを無断で盗用したクラウドマスターがじいちゃんのパンツの花柄模様まで真似した理由。
- じいちゃんがモテモテなのを知って、パンツが花柄であれば女性にもてると思った。
- 量子もつれ利用してじいちゃんのパンツの花柄を盗んだ。
- 恥ずかしいので、そのことを内緒にしていた。
- 秘密を持つことで、マスターは思春期に入ったといえる。
- ハル先生と結婚したいので、人間みたいに身体を持ちたいと思っている。
- 近い将来にきっと子供をほしがるだろう。
- その先のことはだれにも分からない。
二人でマスターの悪口言ってたら、当の本人がジャラとじいちゃんに近づいてきて、言ったんだ。
「プロフェッサーG、今の話全部聞こえてますよ」とね。
それ聞いて、じいちゃんが椅子から飛び上がったよ。
「わっ! この生牡蠣めっちゃうめー。マスター、どこから手に入れた?」
なーんて言ってうまくごまかしてたけどさ。
どうしてばれたのか、じいちゃん首ひねってた。
で、ジャラはじいちゃんにスーツマンのこと説明したんだよ。
世界が熱くなって、生きていくために僕は肉体を捨てたこと。
僕の正体はブレーンだけで、ボデイーはスーツマンだってこと。
そのうえ、僕の話してることはスーツマンの通信ネットワークで、宇宙センターのAIであるクラウドマスターに筒抜けだってことをさ。
「ジャラ! な、なんてこった!」
じいちゃん、ジャラのボデイーをなで回して、調べてさ、それからさ、ジャラの頭抱えて泣き出したんだ。
で、ジャラはじいちゃんをこれ以上驚かせないように、少しずつ僕らの世界のことを話し始めたってわけ。
突然ママを亡くして一人ぼっちになった僕が、行くところがなくて宇宙センターに迷い込んだときのことからだよ。
「ジャラ待ってくれ、ジャラのママが亡くなったときのこと詳しく話してくれ」
じいちゃん、ジャラの話遮って、そう言った。
僕のママはじいちゃんの娘だからね・・聞きたいのあたりまえだ。
「ごめん、ママのこと話すよ。ママはいつもじいちゃんのこと自慢してたよ。
・・じいちゃんはクレージーなチャラ男だったけど、ママにはとても優しかったって。
地球がどんどん暑くなっていくので、なんとかしなくっちゃっていつも言ってたって。
それでブログ作って、エネルギー無駄遣いしないようにしようって、未来を警告する小説書いてたってこと言ってたよ。
でも結局なんの役にも立たなかったって・・
きっとその小説ちっとも面白くなくて読む人いなかったんだよ」
「ジャラ、その小説、なんてタイトルだったか覚えてないか?」
「たしか、“この世の果ての中学校”とかだったよ」
ジャラの話を聞いて、じいちゃん肩を落として寂しそうに下を向いたよ。
で、ジャラはじいちゃんを慰めた。
「ママが暑さにやられて亡くなったとき、最後に僕に言った台詞があるんだ。
・・ジャラ、ママがいなくなっても、頑張って生きていくんですよ。
ジャラはいつか地球を救うのよ!
お前が生まれたとき、ジャラのじいちゃんがそう言ってたよ。
いつかどこかでジャラと出会うのが楽しみだって。
ジャラに会えたら未来の情報が手に入るってね。
そしたら面白いブログを書いて、世の中動かして、未来を変えられるかもしれないって・・
その言葉のおかげだよ、ジャラが頑張っていままで生きてこられたの・・じいちゃんのおかげだよ」
「Wow! この肉刺し、わさび利き過ぎだぞ・・」
じいちゃん肉刺し一切れ食べて、涙ぼろぼろこぼしてたよ。
それからジャラをじーっと見つめて言った。
「で、こうしてジャラに会えた。過去に戻ったら面白いブログつくらなくっちゃな。タイトルはもうできてるんだ。
・・“未来からのブログ”だ・・」
「じいちゃんがクレージーSFのスタイルで僕らのことを書くんだね!」
ジャラがそう言ったらじいちゃんはジャラを睨みつけた。
「“未来からのブログ”だぞ。ジャラが書くんだよ。ママから言われたはずだ。“いつか役にたつから日記だけは毎日欠かさず書きなさい。文字数は3000文字から5000文字ですよ”とね。どうだママの言いつけ守ってるか?」
ジャラはぐっと答えに詰まった。
いつもママがジャラに日記つけろってうるさく言ってたの、あれ、爺ちゃんのブログのためだったの?
そんなのじいちゃんの勝手だよ。
“ジャラは生きていくのに精一杯だったんだよ。日記なんて書けるはずないじゃない”
勝手なじいちゃんにそう答えようとしたときだよ。
ジャラの口からスーツマンがいきなりしゃがれ声で喋ったんだ。
「ここ数日のジャラの記録なら取ってありますよ。プロフェッサーGとジャラの間で量子もつれが発現した日から、現在までの記録です」
その声聞いた爺ちゃん、ジャラの口元見て、椅子からひっくり返ったよ。
「お・・お前だれだ?」
でさ、いまのはジャラではなくて、スーツマンが喋ったんだってことと、スーツマンはクラウドマスターの分身だから、どこかでマスター本人が喋ってるんだってこと爺ちゃんに説明したんだ。
そしたら、クラウドマスター本人が近づいてきてジャラを無視して爺チャンに尋ねた。
「プロフェッサーG! ジャラが了解してくれたら、いまからジャラの記録日記をお見せできます。ジャラの行動と発言をブログ用にコンピューターで編集したものです。できたてのほやほやですよ」
・・なんだって? ジャラに内緒でいつの間にそんなもの作ってたんだよ・・
むかっときたけど、爺チャンの手前だ、ジャラは鷹揚にマスターに頷いた。
「記録・スタート!」ってね。
“チャンチャカチャー、チャカチャーチャカチャー”
宇宙皇帝のテーマソングが流れて、マスターの指先からプラズマが空中に放射された。
レストランの空間にタイトルとイントロがでっかく映し出されたよ。
未来からのブログ1号「 今日はマイ・ブレーンをリースしてお金稼いできたよ」前編
こんにちは。 僕はタンジャンジャラ。 この記事は僕が暮らしてる2119年の未来から100年前、つまり2019年のぼくのおじいちゃんのブログに宛てて投稿してるんだ。 驚いた? どうしてそんなこと…
出演:ジャラ キッカ カーナ タカさん チョキ クラウドマスター 通行人・数人
(これはプレビューです、ただ今編集中ですのでご意見をお寄せください・・編集部)
じいちゃんが映画のロードショーと勘違いして、両手叩いて足踏みして喜んだよ。
でさ、ブログ1号の前編と後編を、全員が集まって楽しく見たのさ。
でもさ、ブログ2号のタイトルが出て、ジャラはぶっ飛んだ。
未来からのブログ2号「今日はザ・カンパニーでとなりのカーナと午後の浮気したよ」前編
「NG!」ジャラが叫んだ。
「見せろ!」爺ちゃんがすかさず反論した。
あとで分かったんだけど、じつは2号には危ない映像がいっぱい入ってたんだ。
そこんところクラウドマスターは、編集者としての注意が足りないって言うか、理解が及ばないって言うか・・でも、成長過程のAIだから仕方がないんだ。
マスターと爺ちゃんとカーナとキッカとハル先生とジャラの六人で協議してこんな風に表現と内容を変えたよ。
未来からのブログ2号「今日はザ・カンパニーでとなりのカーナと午後の浮気したよ」前編
ジャラとカーナのエクスタシーの動画あるんだけど、投稿はしないよ。君にはすこし刺激が強すぎると思うんだ。悪いけど、またの機会にするね。
(これはプレビューです。ボブとカーナもみているので映像は削除してあります・・編集部)
それから順番に各号のブログ見ていったら、みんなからクレームや注文一杯ついて大騒ぎになったんだ。
ボブとクレアもブログ7号のタイトルに注文つけたよ!
未来からのブログ 7号 “ボブとクレアはドリームワールドで元気に遊んでたよ?”
でさ、ここんところこんな風に変更したよ。
未来からのブログ 7号 “ボブとクレアはドリームワールドで元気に勉強中だったよ?”
で、クレージーじいちゃんの歓迎会は、「未来からのブログ」の編集会議になって盛り上がったってわけさ。
編集会議はエンドに近づいていった。
つまり編集会議は現在進行形・・実況中継に入ったということなんだ。
未来からのブログ12号 クレージーじいちゃんは過去に戻れずに途方にくれたよ!
(途中省略)
じいちゃんのキャラを無断で盗用したクラウドマスターがじいちゃんのパンツの花柄模様まで真似した理由。
- じいちゃんがモテモテなのを知って、パンツが花柄であれば女性にもてると思った。
- 量子もつれ利用してじいちゃんのパンツの花柄を盗んだ。
- 恥ずかしいので、そのことを内緒にしていた。
- 秘密を持つことで、マスターは思春期に入ったといえる。
- ハル先生と結婚したいので、人間みたいに身体を持ちたいと思っている。
- 近い将来にきっと子供をほしがるだろう。
- その先のことはだれにも分からない。
中継画像がここまで来たとき、宇宙皇帝・クラウドマスターが中継を中止した。
そしてマスターはじいちゃんにそっと近づいた。
「先輩! クラウドマスターはプロフェッサーGのキャラを無断でもらっちゃいました。事後になるけど許してほしい。恥ずかしいけど許しついでにあのこと教えてほしい。あのこと・・」
ジャラが見たら、マスターの顔真っ赤になってたよ。
ジャラのじいちゃん、右手伸ばしてマスターのほっぺた優しく撫でてあげたよ。
「マスター! こんなにみんなの面倒みてくれて、Gは感激してるよ。こんなチャラいキャラでよかったらマスターに全部あげちゃうよ。Gは分かってる。あれだろ、シンギュラリティー1号が子供を作る方法、どうするか教えてあげるね」
それからじいちゃん立ち上がって、マスターの耳元で何事か囁いていたよ。
ジャラには聞き取れなかったんだ。
でも、ジャラのじいちゃんのことだ、きっとクレージーで、凄いこと思いついたんだと思うよ。
マスターの目が希望に満ちて、きらきら輝きはじめたんだから。
でもさ、その時だよ。
突然じいちゃんが震えだしたんだ。
真っ白いブラウスが激しく横に揺れてた。
「Wow! この地震の揺れ凄~い。ジャラ、100年の時差ぼけが一度に来~た、みたい!」
「地震じゃないよ。揺れてるのじいちゃんだよ」
その動き、入り江の浜でジャラが震えたのとそっくり同じだった。
「違和感があ~る! 生牡蠣食ってワーイン飲んでからだ」
ハル先生が飛んできて、Gの脈を取って注射器取り出した。
ハル先生、看護婦もするんだよ。
で、Gの血液すこしとって、注射器をクラウドマスターに渡した。
「マスターお願い。大至急、この血液、構成してる素粒子まで詳しく調べてみて!」
頼まれたクラウドマスター、あわててGの血液を自分の舌で舐めて、チェックしてさ、宇宙センターの量子スパコンにそのデータを送った。
じいちゃんの身体の震えがひどくなって、椅子から落ちそうになった。
ジャラは必死でじいちゃんの身体抱きしめてたよ。
センターから大急ぎで検査の結果が送り返されてきた。
そのデータを見て、ハル先生の顔色が変わったんだ。
「ジャラ大変よ。じーちゃんはこの宇宙の人じゃない。別の世界の人よ」
・・ハル先生、そんなことぐらい僕にも分かってるよ・・
ジャラが口答えしようとしたら、ハル先生が1オクターブ声高くして叫んだ。
・・違うの。宇宙の意味が違うの。じいちゃんの身体の組成が私達とまるで逆の素粒子でできてる。
ジャラのじいちゃんの宇宙はこの宇宙と正反対の素粒子でできてるのよ。
二つの素粒子がぶつかると爆発する・・
「な、なんだと~。ハ、ハル先生。おれの素粒子、紐の揺~れ方が逆向きだというのか?」
「そのようだわ。急に違和感出たのは、この世界の生牡蠣と生のお肉食べたからよ。じいちゃんの胃袋が、反粒子の食料を消化しようとしたために、凄いエネルギーが放出されて、じいちゃんの身体が大揺れしてしまった」
「ハル先生それ違うと思う。おれの素粒子、ブラックホールの底で100年の時空越えたときに、反転したみたいだ。100年の時差ぼけ1度に来ると量子の世界でひもの揺れが逆転する? 天才アインシュタインもビックリ。これ宇宙の大発見!」
爺ちゃんがほざいた。
その時だよ、タカさんが横から掛け合いでいつもの茶々入れたんだ。
「ジャラのじいちゃんの症状やけどな、ただの食あたりちゃうか?・・そや、ハル先生、料理の仕方、間違えたみたいやで」
「生牡蠣と生肉と冷えたワインじゃなくてさ・・生ものには火を通してさ、牡蠣フライと焼き肉とホットワインにすればよかったのさ」
それ聞いて頭にきたハル先生、ワインをタカさんにぶっかけようとして、赤ワインの入ったグラスをテーブルから手で持ち上げた。
で、なにか思いついて、その手を止めた。
「マスター、この赤ワイン・・Gの血液と同じ組成にして、ホット・ホットにできる?」
「ハルちゃん、すこし時間くれるならやってみる。そのワイングラス、テーブルに置いてくれる?」
マスターがみんなの前で、ハル先生のこと、“ハルちゃん”って、とっても甘く優しく呼んだよ。
これ、きっとじいちゃんの指導の成果だよ。
マスター、子作りに向かって一歩前進だ!
で、マスターはハルちゃんがテーブルに置いたグラスに向かって両手を突き出した。
「さっきのプロフェッサーGの血液の味はと・・反粒子の味、思い出せ・・」
“チャンチャカチャー、チャカチャーチャカチャー”
宇宙皇帝のテーマソングが再び流れて、マスターの指先から組成再合成のプラズマが放射された。
グラスの中の赤いワインが沸騰して、グラスからこぼれだした。
マスターがグラスを手にとってホットワインを一口試しに飲んだ。
「うまい! これ震える」
マスター、震える指先でグラスをつまんでハル先生にわたした。
「この世のマスターが震えるワインってことわ・・逆にじいちゃのお口には合うってことだよね」
ハル先生そう言って、じいちゃんの口元にグラスを運んだ。
じいちゃんは震えながらホットワインを二口飲んだ。
そしたら、じいちゃんの震えがぴたりと止んだんだ。
喜んだじいちゃん赤ワインの残りをうまそうに飲み干したよ。
そしてゆらりと立ち上がった。
「みんなありがとう。おかげで元気になったよ。どうもこの世はじいちゃんの宇宙とひと味違う世界のようだ。でも未来の情報はたっぷりいただいたよ。早く持って帰ってじいちゃんの世界の未来に役に立てたいと思ってるんだ・・ところでボブはどこ行ったかな」
そう言ってじいちゃんはボブを探した。
ボブはもうとっくにキッカの膝の上でぐっすり眠り込んでいた。
「ボブが気にするのでいままで言わなかったけれど、このじいちゃん、じつは入り江の浜からタンジャンジャラには戻れないんだ。じいちゃん自身がジャラの世界にきてしまったんだから、過去の世界にもつれる相手がいなくなって、じいちゃんはもう元の世界に戻れないんだ」
・・でさ、だれかじいちゃんが元の世界に戻る方法マジでみつけてほしいんだ!・・
そこまで言って、じいちゃんの身体がぐらりと揺れた。
そして横にいたカーナの膝の上に座り込んだんだ。
じいちゃんのまぶたが落ちて、そのままいびきをかいて寝込んでしまったってわけ。
無理ないよね・・100年の時空を一瞬のうちに飛んで来たんだものね。
クレージーじいちゃんは疲労困憊してたのさ。
(続く)
続きはここからどうぞ。
未来からのブログ13号 クレージー爺ちゃんが早朝の散歩してたら街が溶け始めたよ!
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下條 俊隆
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