ビッグヒットSF映画シリーズの新作が二本、2019年6月に一週違いで日本で初公開されました。
シリーズ4作目「メン・イン・ブラック:インターナショナル」とシリーズ最終編「X-MEN:ダークフェニックス」です。
ヒットしたシリーズ映画の新作は、人気を保つのが難しいのが映画界の常識です。
直接対決となった二作品の勝負は、どうなるのでしょうか?
ほとんど同時に公開された全米ではメン・イン・ブラックが週間全米一位を獲得、前週に公開されたX-MENは全米二位でスタートをしました。
興行収入でも両者はほとんど同額のスタートですが、三週以降はオープニングの興収を相当下回っています。
・・はたして日本ではどうなるのでしょうか?
両シリーズのオールド・ファンとして、二つの新作を公開の初日に観てきました。
映画の主人公は両作品とも、MENでなくて WOMENでしたよ。
ハリウッドも“女性の時代”なのでしょうね。
ネタバレ“ほとんどなし”で、感想を書きましたので、どうか安心してお読みくださいね。
“地球はど派手に裏切られる”メン・イン・ブラック:インターナショナル
公開初日の6月14日(金)に「メン・イン・ブラック」シリーズの第四弾“メン・イン・ブラック:インターナショナル”を梅田東宝で観てきました。
午後二時の字幕版で観客は60%から70%くらいの入りでしたよ。
メインストーリーは「MIB内部にエイリアンのスパイがいる。地球侵略を計画中のエイリアンのスパイは誰だ?」でした。
シリーズ前三作のアメコミ風「度肝を抜かれた」感はありませんでしたが、ブラックスーツのニュー・コンビがすこし固いけど、やたらとフレッシュで良かったですよ。
公開済みのシリーズ三作は、エイリアンが地球上にごろごろしていて、わんちゃんニャンコにゴキブリまでみんなエイリアン。
エイリアンを宇宙からの侵略者か、友好的移民か観光客か、調査して取り仕切っているのが秘密組織のMIBでした。
こんなおふざけ設定にトミー・リー・ジョーンズとウイル・スミスの迷コンビが、ご存じ記憶消去ガン“ニューラライガー”を振り回して、エイリアンに接触した人間の記憶を片っ端から消しまくって、組織の存在を消していく・・そんなシリーズ作品に度肝抜かれて、笑いこけました。
新作のインターナショナルは“メン・イン・ブラック”から“men&women in black”にコンビがフレッシュになりました。
ニューコンビは、地球を救ったという触れ込みのチャラ男のエージェントH(クリス・へムズワース)と、策略と売り込みであこがれのMIBに入社した女性エージェントM(テッサ・トンプソン)です。
エイリアンと子供のときに接触した少女が、秘密組織MIBの存在を知って、いつかメンバーの一員になることを夢見て策略を練る。
彼女の目的は「エイリアンと宇宙の真理」の解明。
そんなテッサ・トンプソンの演技が初々しくて可愛くて、クリスのなんだか薄っぺらい演技をなんども救っていました。
この男女の凸凹コンビ、どこかで観たことあるなとデジャブ。
気がついたら、1970年代のクリントイーストウッド全盛期のダーテイー・ハリー3の逆さコピーでした。
キャラハン刑事の凄腕と、ついて行くのが精一杯の新米のケイト。
あの作品、コンビのスキルの落差とケイトの頑張りが命がけで、画面から目が離せななかったですよ。
MIBの新コンビはキャラハン刑事とケイトのコンビと真逆の面白さを狙ったのでしょうか。
こちらは若い女性の新米エージェントMが、「知恵と武器一つで地球を救った」というチャラ男の先輩エージェントHをなんども窮地から救い出すのですぞ。
エージェントOに「そろそろMIBもwomen in black に名前変えようかしら」
・・なんていわせてましたよ。
・・宇宙人の王族が持ち込んだ、地球をぶっ飛ばせる程のパワフルな武器の争奪戦が始まります。
このスーパー兵器がチャラ男の元カノのエイリアン、リザの手に落ちてしまいます。
ちゃら男のエージェントHは、じつは宇宙の武器商人であるエイリアンの女性リザとあるいきさつ(冒頭のシーン)があって、Hしちゃってるのです。
リザには二本の手以外にもう一つの“触手が”あって、ベッド・シーンで触手伸ばしてチャラ男の身体に絡ませるのです。
ここで二度目のデジャブがきました。
絶滅寸前のエイリアンの女性が、地球に健康な男性の種を求めてやって来る“スピーシーズ”(種)というB級SF映画を思い出しましたよ。
美人のエイリアンに誘惑されて、ベッドで種を提供した地球人男性は、そのあと彼女の背中から出てくる鋭い触手で差し殺されてしまいます。
ベッドシーンはエロくてグロくて残酷でした。
それに比べてチャラ男とリザのベッドシーンのなんとお上品なこと。
エイリアンと地球人とのベッドシーンはSF映画の見せどころです。
“来るぞ、すごいの来るぞ”って期待したのに・・
始まったかと思ったら、満足した表情のリサのとってつけたような三本目の手がチャラ男の背中に絡むところでシーンはおわりでしたよ・・残念。
MIBの他のメイン・キャラクターは、銀髪がかっこいいおばちゃまのトップ・エージェントO(エマ・トンプソン)に、上司のハイT(リーアム・ニーソン)がとても渋い。
つぎに、可愛い(と紹介されてる)キャラはポーニー君。
(私にはとても可愛いとは見えなかったのですが・・)
主人の女王を亡くして生きがいをなくした一兵卒(ポーン)は、エージェントMに拾われてポーニーと名付けられ、命がけで彼女に仕えることになります。
ポーニー君、活躍の出番はほとんどなくて、ラスト・シーンでようやくご主人を助けにやって来ますよ。
・・この映画のクライマックスはエイリアンのスパイとエージェントとの対決となるのですが。
ラストの対決のシーンで最後のデジャブがきました。
スターウオーズのダースベイダーが主人公ルークを、帝国・皇帝の執拗な攻撃から救うシーンを思い出しましたよ。
二つのシーンの共通キーワードは“親子の絆”でした。
おっと、ネタバレはここまで!
シリーズ新作は、前作までのアメコミ風ドタバタ・コメディーとはティストがまったく異なりますので、X-NEN の“ニュー・シリーズ”としてご覧になるのがお薦めですね。
【画像はすべて公式ページより】
すべてが終わる X-MEN:ダークフェニックス
公開初日の6月21日(金)に西宮ガーデンスで「X-MEN :ダーク・フェニックス」を観てきました。
午後12時の字幕版で、館内の座席は60%くらいの埋まり方でした。
観客はメン・イン・ブラックのときより、すこし年齢が若くて男性が多いようでしたよ。
この作品は X-MEN の中でも異次元のパワーを秘めているジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)がストーリーの展開の中心になっています。
冒頭のシーンで・・両親の車に乗った少女ジーンは、自分の嫌いな曲を後部座席で聞かされることに我慢できなくなって、両耳を手で押さえ、「止めて!」と大声で叫んでしまいます。
隠されたジーンの強力なパワーが顕在化して両親と車を襲い、車は対向車とぶつかり数回転して画面は暗転、ジーンも意識を失います。
「奇跡だ、この子だけ身体のどこにも傷がついていない」
医師の声で目が覚めたジーンは、両親がどこにもいないことに気がつき、両親の死が、自分でも制御できない異常な能力が起こした事故のせいであることを知るのです。
車の中でジーンが嫌がった曲は1970年代のグレン・キャンベルのヒット曲「By The Time I Get To Phoenix」です。
邦訳タイトルが「恋はフェニックス」、 直訳で「フェニックスに着く前に」でした。
ジーンのダークサイドに隠されているフェニックス・パワーを暗示する曲だったのです。
その後、プロフェッサーX (チャールズ・エグゼビア)によって創設されたミュータントの秘密組織 X-MEN の一員となって成長したジーンは、ある日仲間と共に、太陽フレアに襲われた探査宇宙船の乗組員を救助するために宇宙に出発します。
この探査宇宙船のシーンで“1992年ボイジャー号”とやけにリアルな画面が出た記憶があるのですが、あれ私の目の錯覚でしょうか? そうでないとしたら、この作品の時代設定は今から20年以上前の1992年ということになります。シリーズ全体の世界観と時代感覚は複雑すぎて私には理解不能です。
・・アメコミだから気にしなくてもいいのかな。
X-MENは探査宇宙船の隊員を救助することに成功するのですが、キャプテン(?)が一人船内に取り残されていることに気づき、彼を助けるためにジーンはテレポーテーション(瞬間移動)をして宇宙空間に出ます。
迫ってくる太陽フレアを前にして、探査宇宙船に立ち塞がるジーンは燃えさかる炎を自分の身体の中に取り込んでしまうのです。
太陽フレアとは太陽で起こる核融合による爆発現象のことで、太陽系の宇宙にガスや電磁波として伝わると破壊的な現象を引き起こすことがあります。
映画では大きな白色系の炎で表現されていて迫力がありました。
キャプテンを無事救け出したジーンですが、巨大なエネルギーを身体の中に取り込んだために、闇のサイドに閉じ込められていたジーンの第二の人格“ダーク・フェニックス”が覚醒してしまいます。
すべてを破壊する史上最強のパワーを身につけたジーンはその力を制御することができない危険な少女ジーンに戻っていました。
ここでデジャブ。
怒りに襲われると自分を制御できなくなって、相手が友達でも火だるまにしてしまう少女“キャリー”を思い出しましたよ。
スティーブン・キング原作の1973年公開の“キャリー”は、自らが制御できない超能力を持つ人間の悲劇を描いた初めての作品でした。
炎の少女“キャリー”と、ダーク・フェニックスを解き放たれた“ジーン”のイメージが悲劇を予感させて重なりましたよ。
このあと、ジーンの活躍を称えて“X-MEN”も“X-WOMEN”にしようかなんてセリフが画面から聞こえました。
どこかで聞いたようなセリフでしたよ。
このあとの展開はすこし複雑です。
少女ジーンにかかわる重大な秘密が明るみに出たり、プロフェッサーXと決別していくジーンが、Xの旧友で宿敵となったマグニート(マイケル・ファスベンダー) の元に助けを求めたり・・。
ダーク・フェニックスに覚醒したジーンの闇の力が、X-MENの仲間にとんでもない悲劇を生んでいきます。
そんなジーンに近づいてくる謎の女性(写真右)を演じるジェシカ・チャスティンがクールな魅力を発散しますよ。
「あの太陽のフレアはただの炎じゃなかったのよ、ジーン!」
謎の女性がジーンに囁くセリフがキーワードです。
おっとネタバレはここまで。
・・そしてジーンを取り巻く戦いが三つどもえ、四つどもえに展開されてラストを迎えていきます。
新作二本の勝負、軍配はどちら?
どちらに軍配が上がるかはこれからの世界での観客動員数次第ですが、ほぼ同時に公開された地元全米でのオープニング速報をご紹介します。
数字はBOX OFFICEの調査で一週間の全米の興行収入です。
2019.6.7-6.9
- ペット2 4665.3万ドル
- X-MEN :ダークフェニックス 3282.8万ドル
- アラジン 2468.1万ドル
- ゴジラキング・オブ・モンスターズ 1545.0万ドル
- ロケットマン 1381.3万ドル
2019.6.14-6.16
- メン・イン・ブラック:インター 3003.6万ドル
- ペット2 2440.8万ドル
- アラジン 1730.9万ドル
- ロケットマン 942.0万ドル
- X-MEN :ダークフェニックス 935.5万ドル
X-MEN :ダークフェニックスはオープニングでペット2に続いて全作品中第二位。
メン・イン・ブラックは堂々の一位でスタートしました。
しかしこの翌週の速報では・・
新作のトイ・ストーリー4 が興収1.18億ドルというダントツのスタートを切った余波もあって、メン・イン・ブラックは4位で1075.0万ドルに下げ、X-MENは9位の360.0万ドルと、苦戦しています。
日本や世界での勝負はこれからです。
二つのシリーズのオールド・ファンとしては、主人公がWOMENになったことで、女性ファンががんがん増えることを期待したいですね。
(おわり)
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下條 俊隆
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