“タラタラしてんじゃねーよ!”
激辛ステイック頬ばって、強気な20才の新人・渋野日向子が世界の強豪と戦って、ゴルフ・メジャー・全英女子オープンに初Vしちゃいました。
2019年8月18日(日曜日)英ミルトンキーンズのウオバーンGC、最終日の快挙です。
18番ホールで優勝をかけた勝負のバーデイーパットを思い切り強めに打った渋野選手は、カップインの瞬間、思わず笑っちゃってましたよ。
英国メデイアが彼女につけた愛称は“スマイル・シンデレラ”
世界が驚き、日本中が興奮した最終日の死闘を「GOLF NET WORK」チャンネルの生中継からざっくり再現してみました。
(以下の画像は「GOLF NET WORK」のライブ放送と一部はNHKのニュースから掲載しています)
目次
“スマイルシンデレラ”渋野選手、3日目を終わって首位。2位と2打差で運命の最終日を迎えた!
“スマイル・シンデレラ”と呼ばれて・・
「スマイルはいいけど、シンデレラはどうかな・・」
笑って答える渋野選手は、三日間を終えて14アンダーで2位に2打差の首位にたった。
最終日を明日に控えて、「あした気持ちよく帰れるように頑張ります」と強気のコメントでメデイアを笑わせた。
10年間渋野選手を指導した佐藤純コーチはNHKの取材につぎのように答えています。
「笑顔、笑顔で出しているのは(昔からで)やっぱりよかったなと、成長してくれたなと・・」
続いて・・「(明日は)楽しくまわってきてくれと、なにか勉強して帰ってきてくれたら十分です」と。
でも、全英オープンの賞金は日本の女子トーナメントの5倍を越える高額で、魅力的ですよ!
“日向子さん、ここまで来たらGET しなくっちゃ!”って深夜のテレビに叫びましたよ。
賞金総額は450万ドル 日本円で約4億9100万円
優勝賞金は67万5000ドル 日本円で約7370万円
・・でした。
運命の最終日がスタート! 3番ホールで4パットして2位に後退
あの樋口久子選手が1977年に全米プロを獲得して以来、42年ぶりのメジャー制覇という快挙に向かって、渋野選手の最終日の競技がスタートしました。
スコアボードのトップは渋野の14アンダーです。
最終組でまわる渋野選手のパートナーは3日目に続いて、2打差・12アンダーの南アフリカのアシュリー・ブハイという30才の選手でした。
その二組前を米国のリゼット・サラスと世界ランク1位の韓国コ・ジンヨンという恐い二人がまわっていました。
渋野選手の出だし1H・パー4のドライバーは緊張感も見られずナイスショットでしたよ。
パーオンして余裕のパーで1番ホールを無事通過、出だしは順調でした。
2番のロングホールは第3打をピン近くに寄せ、バーディーチャンス。
渋野選手の打ったパットは、一度カップに入りかけてから、縁にけられて外れてしまいました。
“残念!”
渋野選手もがっかりしてましたよ!
これですこし雲行きが怪しくなりました。
つぎの3番ホールで4パットしちゃったのです。
渋野選手は「ゴルフで一番嫌いなものは?」と聞かれて「3パット」と答えています。
3パットどころか、4パットをしてしまった渋野選手はダブルボギーを叩いて、12アンダーに後退してしまいました。
このとき二組まえでまわっていた南アのサラス選手が1番から4番ホールまで、4ホールで3バーデイーをとって13アンダーとしていました。
サラス選手にスタート時点の4打差を逆転された渋野選手は、このとき、一気にトップの座から滑り落ちたのです。
・・4パットにがっくりきて、この時点で、明日の仕事に備えて、テレビを消して寝てしまった日本のゴルフファンもたくさんおられたことでしょうね。
このとき解説の岡本綾子が「彼女が優勝するためには、前半のラウンドでまず元の14アンダーにスコアを戻すことです」と言っていました。
“彼女ならできるでしょう”・・といわんばかりの軽い調子でしたよ。
よく見れば、まだ試合は始まったばかり、渋野選手は“1打差の2位”じゃないですか。
岡本綾子さんのコメントでテレビ中継を見続けた人は、どんどん試合が白熱してきて、最後の優勝の瞬間まで眠ることができなかったはずです。
「このコースは英国特有のリンクスじゃなくて、緑の多い日本のコースに似ている。だから日本の選手は戦いやすいのよ!」
岡本さんはそう言っていました。
じつは解説の岡本綾子さんは1984年にこのコースをまわって優勝しているのです。
全英女子オープンがメジャーに昇格したのは2001年からですが、ウオバーンGCを知り尽くしている岡本綾子さんの解説は“ずばり”当たり続けましたよ。
5番と7番でバーディー奪取! 渋野選手首位に復活するも、奪い返されて脱落 大混戦の後半へ向かう
渋野選手は4番のパー4でバーディーパットを惜しくも外したあと、5番のミドルホールでドライバーをナイスショットしました。
そしてフェアウエーからカップ5mに乗せたボールを、強気の1パットで放り込んでしまったのです。
これでまず13アンダーに戻しました。
このバーディーで渋野選手にシンデレラスマイルが戻ってきましたよ。
6番をパーで通過した渋野選手は、7番ロングホールの第二打をFWでナイスショット、グリーンに届かせて、2オンに成功。
2パットでボールをカップに沈めて楽々のバーディー。
スタートと同じ14アンダーに戻すと、渋野選手は岡本綾子さんのコメントどおり首位に返り咲いていました。
しかし、このあと8番のショートホールでグリーン奥までオーバーした渋野選手は、アプローチも大オーバー。
ボギーを叩き、13アンダーに後退しました。
一方、セレス選手は9番のパー4と10番のパー4で連続バーディーをとり15アンダー。
コー選手も10番をバーディーで14アンダー。
セレス15アンダー、コー14アンダー、渋野13アンダーの順番で後半へとなだれ込んで行きました。
勝負の12番ミドルホール! 渋野選手はワンオンを狙った!
10番のパー4でバーディーを取って14アンダーとした渋野ですが、先行するサラスと、コーがさらにスコアを伸ばすのを見て、12番のパー4で勝負に出ました。
12番はグリーン右側に池のあるホールで、距離は短いのですが、池につかまる危険性の高いホールです。
このホールは中継を見ていてしびれましたよ。
コーもサラスも安全に2オン狙いで通過していったホールです。
ワンオンを狙った渋野選手のボールは、グリーンの右端に落ちて、池の方向へどんどん転がっていくじゃありませんか。
グリーンを外れたら斜面で池に一直線、万事休すです。
「止まってくれ~!」
日本中のファンの叫びが届いたのでしょうか。
ボールはグリーンのエッジに止まったのです。
画像を見てください。
画面の奥はすぐ池になっています。
危ないところでした。
このホールを2パットでバーディーとした渋野は、トータルで15アンダーとして、サラス、コーをしぶとく追い上げていくのです。
岡本綾子が話す渋野選手のゴルフの特徴
渋野選手のドライバーは240~250ヤード位は飛んでいます。
海外のトップにも引けを取らない飛距離です。
そのうえ方向性が抜群に正確です。
彼女のご両親は二人とも国体やインターハイ出場のアスリートですから、“強い筋力と集中力は両親のDNAのおかげでしょうか”と岡本さんも言っています。
小学校の先生の話では、彼女は男の子と腕相撲をして負けたことがなかったそうですよ。
渋野選手は岡本綾子さんと同じようにソフトボールの選手でもありました。
彼女はいまでも“ゴルフよりソフトボールの方が好き“と言っています。
岡本さんによれば、ソフトボールのピッチャーは、ボールを早く投げる技術力と、方向性とのバランスを磨くことができるので、ゴルフの上達にとてもいいのだそうです。
渋野選手も“ピッチャーは右投げで、バッターは左打ちにして、身体全体のバランスを作るようにしていた”そうですよ。
渋野選手の意識するゴルフスタイルは「スマイル」と「強気」です。
「スマイルで緊張をほぐして、強気に攻める」
・・試合はバックナイン、渋野選手が得意とするイン・コースに入り、スマイルシンデレラの強烈な追い上げが始まりました。
15番ホールでバーデイー、ついにサラスと並んだ
上の画像のスコアをご覧ください。
渋野選手が後半の14番を終えた時の順位は、米・サラスが2ホールを残して17アンダーでトップ。
韓国のコーと日本の渋野が一打差の2位、さらに一打差で米・モーガン・プレッセルと南アのブハイが並んでいます。
2ストロークの僅差の中で、5人が入り乱れての死闘を繰り広げていたのです。
得意の15番ロングホール、渋野選手はバンカー越えの難しい第三打をピン3m、バーディーチャンスに寄せました。
そしてワンパットでバーディーを決めたのです。
右手でガッポーズをとる渋野選手・・トータルスコアを17アンダーに伸ばして、ついにトップのサラスをとらえました。
“タラタラしてんじゃねーよ”食べて、テレビに向かっておどける渋野のキャラは世界を驚かせた!
上がり3ホール、緊張の優勝争いの最中、グリーンが空くのを待つ渋野は、激辛の駄菓子“タラタラしてんじゃねーよ”を食べてテレビに向かってスマイル。
このシーンは世界を駆け巡りましたよ。
“ゴルフメジャーに“可愛いニューヒロイン誕生”ってね・・。
渋野選手はお菓子が大好きで、食べると緊張感がどこかへ飛んでいくそうですよ。
ニューヒロイン誕生! 最終18番ホールでサラスはバーディーパットを外し、渋野は決めた!
ニューヒロイン誕生の舞台は満員の観客に取り囲まれた18番ホールのグリーンの上でした。
優勝は17アンダーでトップに並んだサラスと渋野に絞られました。
サラスは最終ホールを、渋野選手の二組前で迎えました。
スタンドで大観衆が迎える中、サラスのショットはピン側に吸い寄せられていきます。
しかし、優勝を目前にしたサラスは、バーディー確実とみられたこのパットを外してしまいました。
画面の左下に無情に外れたボールが見えます。
サラスは17アンダーで競技をおえて、渋野とのプレーオフに備えて、練習グリーンに向かったのです。
最終組の渋野は、前の組のグリーン上のゆっくりしたプレーのため、フェアウエーで長いあいだ待たされていました。
キャディとお喋りして気楽に時間を過ごした渋野は、グリーンが空くと一転目を細め、集中力を高めて、静かに最終ホールのピンを狙います。
渋野選手は観客で埋め尽くされたギャラリースタンド下のグリーンに向かって、見事なショットを放ちました。
ボールはグリーンに落ち、ピンの手前5~6mという“微妙な距離”に止まりました。
渋野選手の選択肢は二つです。
- 強目のパットでカップを狙う→入れば優勝、外して3パットすれば優勝を逃す。
- 安全に2パットでいく→プレーオフが待っている。
渋野選手の選択は迷うことなく“強気の1パット”でした。
思い切りよく打ったボールはカップに向かいます。
外れたら1m以上オーバーしそうな勢いです。
白球は見事カップに消えました。
渋野選手、全英女子オープン制覇の歴史的瞬間です。
思わずパター持ち上げてガッツポーズ。
このガッツポーズはニュースタイルだそうですよ。
下を向いて“涙をこらえる渋野”かと思ったら、じつは笑いをこらえてたみたいです。
“涙は出なかった”とインタビューで言った渋野。
あっけらかんと笑ってましたよ。
劇的なフィナーレにメインスタンドの観客は大騒ぎです。
歓声に応えて手を振る渋野に、戦ったブハイ選手(赤いシャツ)も拍手を贈りました。
表彰式で微笑む渋野
拍手の中、ビクトリー・ロードを抜けて渋野選手は優勝セレモニー向かいます。
大会会長から優勝トロフィーを受け取って微笑む渋野選手でした。
“おめでとう渋野日向子選手!”
東京オリンピックに向けて・・
渋野選手はこのメジャータイトルを手に入れたことで、米・女子ツアーの出場権や、海外メジャーの出場権を手に入れました。
でも、“海外のメジャートーナメントには出場したいけれど、米国のツアーには参加しません”と明言しています。
しばらくは大好きな日本で、ツアー活動を続けて、できれば来年の東京オリンピックに出場権を得て、メダルに挑戦したいと話しています。
東京オリンピックの出場資格は日本女子プロゴルフ協会のHPによれば次の通りです。
- 来年6月30日時点の“オリンピックゴルフランキング”で上位15名までの選手で、各国最大4名まで。
- 16位以下については、1カ国2名(15位以内の有資格者も含む)を上限とする。
その他、出場人数は60名です。
全英終了後に新しくなった“世界ランキング”では・・畑岡奈紗選手が10位、渋野選手が46位から14位に急上昇しています。
現在時点のランキングだと、この二人がオリンピックの日本代表資格を持っていることになります。
二人に続く日本選手の世界ランキングは、現在、鈴木愛選手が29位、比賀真美子選手が44位となっています。
あと一年でどのような結果になるのか予断は許されませんが、現在、渋野選手が畑岡選手に続いて五輪出場の最短距離にいることは事実です。
東京オリンピック女子のゴルフ競技は来年の8月5日から8日の4日間、埼玉県の名門・霞ヶ関カンツリー俱楽部で予定されています。
来年のオリンピック・ゴルフも中継でスマイル・シンデレラが見られるかもしれませんよ!
(おわり)
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下條 俊隆
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