地球温暖化が止まらない! 世界で熱波・山火事・洪水が頻発!異常気象が通常に?

2019年も異常気象による自然災害発生のニュースが世界から飛び込んできます。

私と同じマンションに住むご夫婦の話では、次女の娘さんがパリの国際機関に勤めていて、もうパリでは暑くて仕事ができないと、悲鳴の電話があったそうです。

熱波、山火事、洪水などの災害は1月には南米や南半球の各地で、6~7月にはヨーロッパや北半球の方々で発生して、地元に大きな被害をもたらしています。

ある科学情報誌は、このような異常気象をそのうち私達は異常とは感じず、新たな“普通”と感じるだろうと警告しています。

そういえば、自然災害のニュースはもはや例年のことで、異常を異常と感じなくなってしまいそうです。

この記事では、2019年の世界の異常気象や自然災害のニュースをピックアップして、地球温暖化との関連を専門家の意見をもとに紹介いたします。

2019年1月に熱波がオーストラリアとアルジェンチンを襲った。

最高気温46℃を記録したアデレード

南半球では、今年の1月から2月は記録を塗り替える暑い夏になりました。

オーストラリアの南に位置するアデレードでは、1月24日に46.6℃という観測史上最高の気温が記録されています。

オーストラリア史上もっとも暑い1月だったと、オーストラリア気象庁が発表しました。

この気温は日本では経験したことのないものです。

日本気象協会によれば、我が国の最高気温の記録は、2018年7月23日埼玉県熊谷市で観測された41.1℃です。

40度を超えると人は熱疲労を感じて、41℃を越えると身体に障害が出る危険性があります。

アデレードの記録はこの危険な気温を5℃以上も上回っていたのです。

CNNの国際報道によれば・・1月のオーストラリアは、すべての州で気温が上がり続け、長引く干ばつと猛烈な熱波で道路は溶けて、インフラはやられ、衛生当局は全土に警報を出して日中の外出をしないように注意をしていました。

野生の馬が大量死・CNN

ニューサウスウエールズ州のダーリング川の魚は大量死して川面に溢れ、北部では数十頭の野生の馬が涸れた水飲み場の近くで死骸となってみつかっています。

またタスマニアン・デビルなど珍しい野生生物で有名な南部のタスマニア州では、山火事が相次いで、森林の4万ヘクタール以上を焼失して、生態系への被害が拡大しています。

生活インフラでは、ビクトリア州や南部の州で暑さ対策としてのエアコンや扇風機による電力消費の負荷で、発電施設の能力が限界を超えて、停電が頻発しました。

熱波の中をエアコンなしで耐えていた数十万世帯の人達がいたのです。

そのような中、OECD「経済協力開発機構」が豪州の政府に対して、豪州の特有の生物多様性を守り、異常に高い化石燃料への依存を減らすように、政策の変更を求めたとCNNが報じていました。

調べてみましたら、オーストラリアは、石炭、石油、天然ガス、ウラン等の天然資源に大変恵まれていて、 安価な国産エネルギーが簡単に手に入るのです。

そのため、オーストラリアではエネルギー多消費型産業が発達して、エネルギーの大半を石炭を中心とした化石燃料発電に大きく依存しています。

温暖化による異常気象への影響を重く見たOECDは、政策の変更と、積極的な環境対策を豪州に求めたのです。

日本経済新聞、2019年8月21日の記事によれば「オーストラリアでも化石燃料への依存を減らし、温暖化ガス排出削減を加速する方向で動き出していたが、温暖化対策に消極的な陣営が総選挙で有利になるなど、揺り戻しが起きている」と報じられています。

豪州やカナダや米国でも地球温暖化や環境対策といった課題は、現実の産業構造との利害や政治が絡むと、なかなか一筋縄では進まないのです。

南米では熱波で牛とニワトリが大量死

南米でも2019年の1月は猛暑による被害の報告が続きました。

ブラジルのリオデジャネイロでは1月の平均気温が37度を超えています。

ブラジルの国立気象研究所は、気温の記録が始まった1922年以来もっとも暑い夏だと報告しています。

ウルグアイではニワトリが暑さのために大量死した報道が続きました。

アルゼンチンの首都ブェノスアイレスでは気温が過去最高の45℃に達して、搬送の途中で牛やニワトリが熱波で死んでいると報道されています。

南米の暑い夏はそのあと3月まで続いたのです

2019年6月7月は地球の北半球で異常気象

2019年 6月7月も世界は異常気象(東京新聞)

この異常気象マップは、世界気象機関WMOが2019年7月12日に分析・発表した世界の異常気象を東京新聞が翌日の夕刊で、地図上にまとめたものです。

WMOは1950年にジュネーブに設立された国連の専門機関です。

WMOによれば・・2019年6月以降、ロシア、シベリアなどの北極圏が記録的な高温となり、山火事が多発しました。

一方で米国やバングラデシュでは洪水となるなど世界各地で異常気象が相次いでいる、と発表しています。

また欧州やインドも厳しい熱波に襲われていて、この原因をWMOは“地球温暖化による高温や降水パターンの変化が山火事の増加や夏の長期化をもたらしている”と分析しています。

WMOによれば、地中海から北極圏までの広い地域が異例の高温と乾燥状態になっています。

シベリアでは6月の平均気温が1981年から2010年の平均より10℃も高くなりました。

米国アラスカ州では観測が始まってから2番目に暑い6月となり、夏も涼しいはずのアラスカで7月4日には32℃を記録しています。

ヨーロッパ全部が熱波に襲われて、6月は観測史上もっとも暑い6月となったことを気象衛星のデータが示していました。

フランスではご存じの通り、6月28日にフランスの観測史上最高の45.9℃と、想像を絶する暑さを経験しています。

スペインでは高温で山火事が発生して、懸命の消火活動にもかかわらず、数千ヘクタールの土地が焼け野原になってしまいました。

・・・

南半球のオーストラリアのアデレードでは1月に最高気温の46.6℃を経験し、北半球のフランスでは6月に最高気温の45.9℃を経験しています。

2019年は、世界の都市を熱波が襲い、経験したことのない最高気温に記録が塗り替えられたのです。

アマゾンの山火事が止まらない! 地球温暖化に拍車?

アマゾン熱帯雨林の火災
NHK/BS 2019/8/27

2019年のアマゾンでは、森林火災が方々で発生していて、9月に入っても沈静化する気配がありません。

8月27日のNHK/BSの朝の報道では、火災は記録的なペースで増え続けていて、ブラジルの国立宇宙研究所によれば1月から8月末までに8万3000件をこえ、去年の二倍になっています。

アマゾンの熱帯雨林の面積は世界最大で、南米の9つの国と地域の670万平方キロメーターに広がっています。

つぎのMAPは宇宙からアマゾンを撮影したNASAの航空写真をベースに、ナショナルジオグラフィック誌が描いたアマゾンの火災の状況です。

NASAの航空写真から描いたアマゾンの火災の地域(ナショナルジオグラフィック)

地図を拡大して見てください。

赤い点が火災が発生している地区です。

ブラジルだけでなくて、ボリビア、ペルー、アルジェンチンでもアマゾンの森林火災が発生しているのです。

NHKによれば、アマゾンは地球の酸素の20%を生み出すことから”地球の肺”と呼ばれています。(注)

アマゾンの火災による熱帯雨林の焼失は、地球の温暖化を加速させるとして、世界中からブラジルの政策を非難する声や、早期の対応を求める声が上がっています。

アマゾンの火災は人災だといわれているのです。

新しいブラジルの大統領は経済のために「森林の焼き畑を推奨している」という非難が、国内や海外から起こっています。

「大統領が僕らの未来を燃やしている!」抗議する少年(NHK)

大統領は急遽空軍を出動させて消火活動に当たらせましたが沈静化する気配はありません。

アマゾンの乾期はこれから12月まで続きます。

地球温暖化への懸念はもちろん、アマゾンで暮らす原住民の人たちや、多様な野生動物のことも大変心配になります。

人類への警鐘! アイスランドで地球温暖化の影響で消えた初めての氷河の跡に記念碑が建てられた!

アイスランドの消えた氷河の記念碑の上で、地球温暖化に警鐘を鳴らす人たち(NHK/WEB)

2019年8月19日のNHK・BSの朝の国際報道番組がアイスランドの消えた氷河の記念式典のニュースを流していました。

アイスランド西部の「オクオヨット」の氷河はかつて16平方キロメートルの大きさがありました。

それが現在は1平方キロメートルになってしまいました。

気象当局は2014年に地球温暖化によってはじめて消滅した氷河だと宣言しました。

そして、2019年8月18日に記念の式典が開かれ、アイスランドの首相や国内外の研究者数百人が集まって、銅でできた記念碑を、氷河のあった場所の岩に埋め込んだのです。

記念碑のタイトルは「未来への手紙」です。

プレートには未来の人々に当てたメッセージが刻まれています。

今後200年ですべての氷河がおなじ運命をたどると予想される。

この記念碑は私たちが何をなすべきかを認識するためのもので、それがなされたかはあなたたちだけが知ることになる。.

地元のメデイアによりますと、科学者たちは、アイスランドでは毎年110億トンもの氷が溶けていて、このままだと2200年までにアイスランドにある400あまりの氷河がすべて消滅すると警鐘を鳴らしているのです。

氷河の消滅は地球の海面の上昇を招き、生活圏としての沿岸地域の消滅を意味します。

世界の異常気象は、地球から人類に送られた「地球温暖化対策・待ったなし」の“警鐘”なのかもしれません。

(おわり)

【注】ナショナルジオグラフィック誌による異論(オックスフォード大学環境変動研究所マルヒ氏の計算)を紹介します。

“アマゾンが地球の酸素の20%を作りだしているという話は正確ではない”

アマゾンは陸上で生産される酸素のうち約16%を作り出している。

海洋の植物プランクトンが生産する酸素を計算に入れると数値は9%になる。

さらに付け加えれば、木は酸素の生産者であるだけでなく消費者でもある。

日中に蓄えた糖をエネルギーに変換する細胞呼吸の過程で酸素を使用する。

夜間は、木は昼間に生産する酸素の半分強を呼吸で消費している。

・・・あれあれ! 残りは3%ちょっとになってしまいました。

じつは、植物の一生における炭酸ガスと酸素の差し引きは ゼロなのです。

このテーマ、いつかまた植物の真実を探って報告しますね。

 “地球は大丈夫?”シリーズ記事をご覧ください。

ミニ氷河期到来?地球は温暖化じゃないの?そのうえホットハウス・アースって何者よ!

あと100年で地上から昆虫が消える!生態系の危機で人類の生存にも影響?

【記事は無断転載は禁じられています】

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下條 俊隆

下條 俊隆

ペンネーム:筒井俊隆  作品:「消去」(SFマガジン)「相撲喪失」(宝石)他  大阪府出身・兵庫県芦屋市在住  大阪大学工学部入学・法学部卒業  職歴:(株)電通 上席常務執行役員・コンテンツ事業本部長  大阪国際会議場参与 学校法人顧問  プロフィール:学生時代に、筒井俊隆姓でSF小説を書いて小遣いを稼いでいました。 そのあと広告代理店・電通に勤めました。芦屋で阪神大震災に遭い、復興イベント「第一回神戸ルミナリエ」をみんなで立ち上げました。一人のおばあちゃんの「生きててよかった」の一声で、みんなと一緒に抱き合いました。 仕事はワールドサッカーからオリンピック、万博などのコンテンツビジネス。「千と千尋」など映画投資からITベンチャー投資。さいごに人事。まるでカオスな40年間でした。   人生の〆で、終活ブログをスタートしました。雑学とクレージーSF。チェックインしてみてくださいね。

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コメント

  1. 藤本昌平 より:

    人間をたくさん殺す生き物は1に蚊、2が人間、3がカバだと聞いたことがありますが、地球上の他の生き物を含め、これからは間違いなく人間でしょう。反論する人もいますが、近年ますます激しくなる異常気象は、地球の温暖化とその原因の温暖化ガスの影響であることは間違いないと思いますし、人間の水資源の乱消費や開発による自然破壊。蜜蜂を始め昆虫を絶滅させているモンサント社などの農薬大量散布。とっしんさんのブログ期待しています。原発廃棄物の追及もよろしく。

    • 下條 俊隆 下條 俊隆 より:

      藤本様
      投稿そして貴重なご意見ありがとうございます。
      地球の温暖化現象はすでに臨界点を超えて、後戻りのできない状態になっているという研究発表があります。
      恐ろしい話ですが現実かもしれません。

      「地球は大丈夫?」
      ブログで追いかけて参ります!